東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安と円高を受けて大幅反落となりました。80円安の27,253円で寄り付いた日経平均は下げ渋ると9時30分前にプラスに転じましたが、33円高の27,367円で伸び悩むと再び売りが優勢となり下げ幅を広げ前引け間際に230円安の27,103円まで下落し227円安の27,106円で前場を終えました。275円安の27,058円でスタートした後場の日経平均はさらに下げ幅を広げると結局388円安の26,945円で取引を終え安値引けとなりました。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が4.0%安となっています。

2.個別銘柄等

豊田自動織機(6201)が11.4%安となりました。国内市場向けのフォークリフト用エンジンの排出ガス試験で不正があり、該当するエンジンを搭載するフォークリフトの出荷停止を決めたと発表したことで売りが膨らみました。北海道を中心にドラッグストアを展開するサツドラホールディングス(3544)も11.0%安となりました。新型コロナウイルス感染対策商品の需要が落ち込み在庫の評価損を計上したことや、店舗で消費する電気料金が高騰したことなどから第3四半期の純利益が前年同期比で24%減となり、通期予想に対する進捗率が29%に止まったことから業績の下振れを懸念した売りが出ました。また、世界で物流の落ち込みが鮮明で2月末に運航を停止したコンテナ船の比率は新型コロナウイルス禍前の3倍になったと伝わったことで海運株が安く、日本郵船(9101)が3.5%安、商船三井(9104)が3.7%安、川崎汽船(9107)も4.3%安となりました。

一方でマクセル(6810)が21.6%上昇しストップ高となり昨年来高値を更新しました。現在のリチウムイオン電池に替わって電気自動車向けなど次世代電池の主流になるとみられている全固体電池を産業機械向けに世界で初めて量産すると伝わったことで買いを集めました。漫画アプリを手掛けるLink-U(4446)も12.0%高となりました。利用者数の増加や課金単価の向上により上期の営業利益が前年同期比で2.2倍となり、通期予想に対する進捗率が90%となったことで業績の上振れを期待した買いが入りました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は388円安となりました。金融システム不安への警戒感がくすぶるなか金融株への売りが続き先週末の米国市場が大幅反落となったことや、131円台後半まで進んだ円高を受けて売りが優勢となりました。日本時間の20日早朝にスイスの金融大手のUBSが経営危機に陥っているクレディ・スイス・グループの買収で合意したと発表したこともあって下げ渋り小幅にプラスとなる場面もありました。しかし、先週末同様に200日移動平均線(27,362円)で上値が押さえられると下げ幅を広げました。そのため200日移動平均線が上値抵抗線として強く意識されそうで、節目の27,000円を割り込み安値引けとなったことから下値への警戒感も一段と高まりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)