東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて4日ぶりに反発となりました。199円高の27,421円で寄り付いた日経平均は取引開始から5分後に202円高の27,424円を付けた後伸び悩むと上げ幅を縮め10時過ぎにマイナスに転じましたが、16円安の27,205円で下げ渋ると持ち直し75円高の27,298円で前場を終えました。99円高の27,321円でスタートした後場の日経平均は12時40分過ぎに114円高の27,336円を付けた後上げ幅を縮めると14時10分過ぎにマイナスに転じ14時40分過ぎに116円安の27,105円まで下落しました。しかし、その後引けにかけて持ち直すと結局7円高の27,229円で取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

三井ハイテック(6966)が14.5%上昇しストップ高となりました。電気自動車の普及などを背景とした需要増と一段の円安を受けて1年前に公表した3ヶ年の中期経営計画で最終年度となる2025年1月期の営業利益を従来予想の300億円から330億円に引き上げたことから買いを集めました。三菱重工業(7011)も一時3.4%高となりました。インドの航空大手のエア・インディアが米ボーイング(BA)と欧州エアバスに合計470機の航空機を発注したと伝わったことからボーイング機の主翼や胴体などの製造を手掛ける三菱重工業に物色の矛先が向かいました。航空機用内装品を手掛けるジャムコ(7408)も5.3%高となったほか、航空機向けチタン需要の拡大期待から大阪チタニウムテクノロジーズ(5726)や東邦チタニウム(5727)も高く、大阪チタニウムテクノロジーズが一時5.5%高、東邦チタニウムも一時4.4%高となりました。

また、昨日の米国市場で買い戻しが入り金融株が大幅高となったことを受けて日本市場でも大手銀行株が大きく上げました。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が4.7%高、りそなホールディングス(8308)が4.1%高、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が3.1%高、みずほフィナンシャルグループ(8411)も2.0%高となりました。地銀株も高く昨日に東証プライム市場で値下がり率トップとなった富山第一銀行(7184)は4.2%高となっています。さらに目標株価の引き上げを受けて積水ハウス(1928)や神戸製鋼所(5406)が高く、積水ハウスが3.1%高となり、神戸製鋼所も5.3%高となりました。一方で第3四半期決算を発表した美容健康機器を手掛けるヤーマン(6630)が21.9%下落しストップ安となりました。新型コロナウイルス禍からの経済正常化に伴いコト消費を増やす傾向が強まるなか重点市場の中国で販売が伸び悩むとみられることなどから2023年4月期の営業利益を100億円から62億円に下方修正し一転して減益となる見通しとなったことで売りが膨らみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は7円高となりました。米シリコンバレーバンクなどの破綻をきっかけに大きく売り込まれていた金融株に買い戻しが入ったことや、伸びが鈍化した2月の米消費者物価指数(CPI)の発表を受けてインフレ加速への過度な警戒感が和らいだことで昨日の米国市場が大幅上昇となったことから買いが優勢となりました。朝方には200円以上上げる場面もありました。しかし、伸び悩むと売りが優勢となり後場には下げ幅を三桁に広げる場面もありました。そのため米銀破綻の影響への警戒感はまだ払拭しきれていないといえそうで、上値の重さが強く意識されそうです。なお、引け後には2月の訪日外国人客数が発表されるほか、日本時間の21時30分には3月のニューヨーク連銀製造業景況指数や2月の米卸売物価指数(PPI)、2月の米小売売上高などが発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)