先週、全米16-17位規模のシリコンバレー銀行(以下、SVB)が経営破綻しました。3月9日(木)時点で、同行は9億ドル以上の現金不足に陥っていたとのことで、取り付け騒ぎが発生しました。この影響で10日(金)、米国の銀行株は売られました。
その後、12日(日)に全米29位のシグネチャー銀行の破綻も発表されました。つい先日、シルバーゲート・キャピタルが銀行事業の清算を発表したばかりで、中小規模の銀行の経営悪化が相次いでいます。
今回の発端は、SVBが調達した資金で長期債券の買い入れを進めており、含み損が大きく膨らんだことです。債券価格下落のヘッジ手段をほとんど取っていないことが明るみに出ました。あまりにもずさんな経営だったと言えるでしょう。
この週末、FRB(米連邦準備制度理事会)など当局は救済策を提示し、顧客の預かり資産を全額保護することを発表しました。これに伴い、米ドルは本日(3月13日)も売られ、米ドル安となっています。この影響を受けて、米ドル/円相場は133円台で推移しています。
BTC(ビットコイン)は一時下落するも反発
先週BTC(ビットコイン)は、シリコンバレー銀行に預金を預けていた、世界第2位のステーブルコインUSDCの担保資金の一部が引き出し不可能となったことを受けて大幅に下落しました。
その後、すぐにUSDC/USDのペッグが外れて、一時1USDC=0.90ドル程度となりました。
この影響を受けて、USDCからBTCに資金が流れ、BTCの上昇につながりました。さらに、米当局によるシリコンバレー銀行破綻による影響を抑える計画が発表されたことにより、BTCは買い戻されました。
こういった状況から、私は来週行われるFOMC(米連邦公開市場委員会)で政策金利の引き上げは行われないと予想します。金融引き締め政策の影響により、マーケットがバランスを崩したことが、冒頭で述べた銀行破綻の原因と言えるでしょう。そのため、今後、政策金利引き上げはしばらく停止されるのではないかと思います。
短中期的に見て、利上げ停止=BTC買いというシナリオになりそうです。株式市場も上昇すると思いますが、また再び問題が出て、ある程度の上昇で頭打ちとなるでしょう。数週間程度は上昇相場になるのではないでしょうか。
金融市場は利上げ停止をまだ織り込みきっていません。短期間ですが、リスクオン相場となりそうです。その結果、インフレ率は再び上昇となるのでしょうか。ソフトランディングが非常に難しくなりそうです。
BTC/JPY日足チャートを見ると、SMA90(3ヶ月移動平均線)で止められています。今週中にこのレジスタンスラインを超えていけるかが注目となりそうです。MACDは十分調整されました。一見、リスクオフマーケットのようですが、米国当局の迅速な対応により、上昇は強めに出ると思います。
ETH(イーサリアム)は強く反発
続いてETH/JPY日足チャート分析です。
ETH(イーサリアム)はSMA90を少し上抜けており、BTCよりも反発が強い印象です。同じくMACDも調整完了を示唆しており、0.00から反発しました。
3月のFOMCで利上げなしとなれば、暗号資産市場は大幅上昇になると予想します。予想通りのシナリオとなりますと、想定外の価格まで上昇を演じると思います。よって、目先、高値の23万円を超えて、25万円方向を意識した買い戦略を継続します。
前回のコラムでは、深い押し目買い戦略を紹介しましたが、今週はこの拾ったポジションを継続し、高値更新を狙ったスイングトレードを中心に考えています。