毎週月曜21時から開催している「広木隆のMonday Night Live」でいただいたご質問のうち、セミナー内で回答しきれなかったご質問に広木隆が回答いたします。回答対象とするご質問は、サイトへの掲載を考慮して選択採用とさせていただきます点についてご了承くださいますようお願いいたします。
Q.低PBR銘柄がPBR1倍を超えてゆくには?
広木さんは低PBRが株価を底上げすると指摘されますが、低PBRのまま放置されていた数多い銘柄が例えばPBR1倍を超えてゆく根拠は何なのでしょうか。
回答
いえ、「低PBRが株価を底上げする」とは申しておりません。正しくは「低PBR是正の動きが株式相場を底上げする」です。
「低PBRのまま放置されていた数多い銘柄が、例えば PBR1倍を超えてゆく根拠」とありますが、そのまま、自然体では低PBRの状態に放置されたままでしょう。そこに企業の意思とアクションが伴う必要があります。
解散価値を下回るPBR1倍割れの企業は、投資家から企業価値を棄損していく企業とのレッテルを貼られているのと同じで、そのような企業が上場している意味はありません。PBR向上のためには非効率な事業構造や資本構成を改善していく必要があります。そうしたことに企業が真剣に取り組めば、株価が上がるのは自明のことだと述べています。
問題はまず企業にその意識を促し、企業価値向上に努めてもらうことが必要です。微力ながら僕も様々なメディアを通じて、声を上げ続けていく所存です。
Q.日経平均の下値はこの先どうでしょうか?
■2023年になってから株価が上昇傾向にあり嬉しく思っています。利確をするか悩んでいますが、2023年のどこかで押目はあると思いますか。
■この先日経平均の下値はどうですか、よろしくお願いいたします。
回答
もうそんなに下値はないです。TOPIXのチャートを見ると明らかですが下値が切り上がっています。押しても日経平均で27500円まででしょう。
あれだけ上値抵抗になってきた水準ですから、上放れた後、今度は下値抵抗水準となるでしょう。
Q.広木さんは、先導株と出遅れ株だったら、どちらを好みますか?
広木さんは、先導株と出遅れ株だったら、どちらを好みますか?私は出遅れ株を買ってしまうせいか、なかなか運用成績が上がりません。どうすれば改善すると思いますか?やはり、先導株を早く見つけて買うしかないのでしょうか。
回答
両方に投資することが重要です。順張りと逆張り、戦略の分散になります。
「先導株を早く見つけて買う」というのは、不可能とは言いませんが、そんなことができる人はごく稀です。たいていの人は動き始めてから買う。それでいいでしょう。
問題はどこで降りるかです。早降りはしたくない。自分なりのルールを決めて、できる限り、トレンドに乗っていく。しかし、自分で決めた利食い基準にきたら、しっかり売ることが肝要です。それでまだ上値があっても諦める。鯛焼きの頭と尻尾はくれてやってください。
Q.このまま日本株は安泰でしょうか?
ブラックロックが、日本株を大量買いしたらしいですが、このまま日本株は安泰でしょうか?
回答
ブラックロックが日本株を大量に買ったという情報は存じ上げません。一方、ひと月ほど前にはブラックロックが日本株の投資判断を「中立」から「アンダーウエート(弱気)」に引き下げたという報道がありました。ただ、その根拠には首をかしげるところがあります。その根拠とは以下のようなものです。
日銀の政策変更により日本国債の利回りは上昇する。日本の投資家が日本国債に回帰し、大量の外国債券の保有を減らせば、先進国の債券利回りに上昇圧力がかかる。世界的に金利が上昇すれば、投資家心理を冷やし、日本株にとってマイナスになる…というものですが、世界的な金利上昇は日本だけのマイナス要因ではありません。また、世界の金利は日本の債券投資家の需給だけで決まるものではありません。
「このまま日本は安泰か」というご質問には、「いまもまったく安泰ではないし、この先も課題が山積」とお答えいたします。
ただし、だからこそ、その山積する課題を解決する気概があれば、それを推進力に変えて成長する余地が大きいとも考えています。
Q.米国の経済指標が指針にならない今、何を根拠に先行きを考えるべきでしょうか?
現在、米国の経済指標は良くも悪くも株価にどう影響を与えるのか不透明な状況だと思います。何を根拠に先行きを考えるべきでしょうか?
回答
まったくご指摘の通りです。Good news is bad news というのはよくあることです。
何を根拠に、というのは、ひとつに定めることができません。ありきたりの答えになってしまいますが、「総合的に」判断していくしかありません。
加えて、マーケットのセンチメントが大事です。経済指標に対する市場の反応から、それを推し量ることが重要な局面です。
Q.今から総合商社の買い増しをしてもよいでしょうか?
丸紅など総合商社は高値更新が続いています。今から買い増ししてもよいでしょうか?
回答
総合商社の高値更新は、バリュー株物色の流れもありますが、第一には好業績である、ということが挙げられます。さすがバフェットの慧眼です。
総合商社は僕もお勧めしています。これだけ高値に買われてもまだ割安です。
Q.住友林業の将来性について
住友林業どうでしょう。米国は中古住宅市場が強そうですが、シェアを伸ばしていけそうでしょうか。国内の林業のリスクはどう考えるのがよいでしょうか。
回答
住友林業(1911)はひと月前、2023年12月期の純利益が前期比29%減の770億円になる見通しと発表しました。前期まで2期連続で最高益を更新していましたが、米国の住宅市場でローン金利の上昇や建設資材価格の高騰が買い控えにつながり、受注が減少したことが響くといいます。
株価は割安株物色の流れに乗って高値追いが続きますが、業績面では踊り場となりそうです。ただし、株価はすでにそれを織り込んだ感があり、米国の利上げ停止で再び住宅市場が息を吹き返すか注目ではあります。
同社の収益は7割が米国からですので、国内林業のリスクは考えなくてよいでしょう。
Q.海運株の見通しについて
■バルチック海運指数がまた上がってきているようですが、海運株は再高騰しそうですか。
■来期以降の海運の見通しが悪いのは皆分かっているのに上がり続けるのは配当狙いだけなのでしょうか?配当落ち後に今度は下がり続けると思いますか?
回答
配当落ち後に今度は下がり続けるとは思いませんが、特需は明らかに剥落するので、2023年度の海運株はかなり仕手っぽい動きになりそうです。
Q.化学系銘柄の株価について
住友化学、三菱ケミカル等の化学系はいかがでしょうか?
回答
化学は業績が非常に悪い業種です。とくに住友化学(4005)は大幅減配です。株価は底値のように見えますが、あえてここで拾わなくてもよいのではと思います。
Q.保険で資産運用は有効でしょうか?
保険会社の変額保険での全世界株投資は資産形成の上で有効でしょうか。保険は掛け捨て、投資はNISAでするべきでしょうか?
回答
「保険で資産運用」というのは、もっとも効率が悪いです。コストがかさむからです。ご自身で仰られている通り、「保険は掛け捨て、投資はNISAでするべき」です。
さらに付言すれば、NISAの枠を使い切ったうえで、NISA外でも、できるだけ投資することです。
Q.人的資本分野への投資は有望でしょうか?
人的資本への取り組みについて 2023年3月期から有価証券報告書への記載が義務付けられます。いくつかの関連銘柄を持っていますがこの分野への投資は有望とお考えでしょうか?
回答
大変有望です。しかし、「いくつかの関連銘柄を持っています」というのが気になります、「人的資本関連銘柄」が有望なのではなく、人的資本の高い企業の将来リターンが高くなる、というのが僕の実証研究の結果です。この研究は5月の日本ファイナンス学会で報告することになっています。
このコーナーでは、毎週月曜夜21時から開催している「広木隆のMonday Night Live」でいただいたご質問のうち、セミナー内で回答しきれなかったご質問にチーフ・ストラテジストの広木隆が回答いたします。
今回は2023年3月6日のセミナーで寄せられたご質問から抜粋して回答しています。
回答対象とするご質問は、サイトへの掲載を考慮して選択採用とさせていただきます点についてご了承くださいますようお願いいたします。
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