【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ:  32,254.86   ▼543.54  ( 3/9 )
NASDAQ:  11,338.36   ▼237.65  ( 3/9 )

1.概況

米国市場は金融株が大きく下げたことや、ハイテク株にも売りが出て大幅下落となりました。78ドル高でスタートしたダウ平均は朝方に192ドル高まで上昇しましたが、伸び悩むと昼前にマイナスに転じ大きく下げ幅を広げる展開となりました。取引終盤に607ドル安まで下落したダウ平均は引けにかけてやや戻したものの結局543ドル安の32,254ドルで取引を終え3日続落となりました。

また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も237ポイント安の11,338ポイントと反落となっています。

2.経済指標等

先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比2万1000件増の21万1000件となり市場予想を上回る悪化となりました。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでも金融が4%余り下落したほか、素材と一般消費財・サービス、不動産、コミュニケーション・サービスも2%以上下げています。

4.個別銘柄動向

大手金融株が大幅安となりました。経営環境が厳しさを増すのに備え資金を確保するために大規模な資金調達を発表した金融のSVBフィナンシャル・グループ(SIVB)が経営不安から60%安と急落したことや、傘下銀行の清算を決めたシルバーゲート・キャピタル(SI)も42%安となったことで、金融環境の悪化を警戒した売りが大手金融株に出ました。

バンク・オブ・アメリカ(BAC)とウェルズ・ファーゴ(WFC)が6%以上下げたほか、JPモルガン・チェース(JPM)も5%を超える下落となりました。シティーグループ(C)も4%余り下げ、モルガン・スタンレー(MS)も4%近く下落しています。

また、主力ハイテク株も下げが目立ちテスラ(TSLA)が5%近く下落し、ネットフリックス(NFLX)も4%を超える下げとなりました。グーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)も2%安となっています。さらに半導体株も安くエヌビディア(NVDA)とクアルコム(QCOM)が3%を超える下落となり、マイクロン・テクノロジー(MU)とウエスタンデジタル(WDC)も2%以上下げています。

一方でゼネラル・エレクトリック(GE)が通期の業績見通しで従来予想を維持したことや、主力事業の長期的な成長見通しを示したことなどから5%を超える上昇となっています。

5.為替・金利等

長期金利は新規失業保険申請件数が市場予想を上回る悪化となったことで米連邦準備理事会(FRB)の利上げ再加速への過度な警戒感が和らいだことから0.09%低い3.90%となりました。こうしたなかドル円はやや円高に振れ136円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国株安を受けて大きく下落してのスタートが予想されます。こうしたなか本日は日銀の金融政策決定会合の結果が昼頃に発表される予定です。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の変動幅拡大といった修正などが行われるとの見方も一部にあることから結果が注目されます。また、本日は3ヶ月に一度のメジャーSQで寄り付きの動向も注目されます

( マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)