東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は4日続伸となりました。71円安の28,237円で寄り付いた日経平均は直後に76円安の28,232円を付けた後切り返し、取引開始から10分余りでプラスに転じ10時30分過ぎに121円高の28,431円まで上昇しました。しかし、28,400円を小幅に上回ったところで伸び悩むと61円高の28,370円で前場を終えました。66円高の28,375円でスタートした後場の日経平均は直後に54円高の28,363円を付けた後再び上げ幅を三桁に広げ14時50分前に160円高の28,469円まで上昇すると結局135円高の28,444円で取引を終えています。こうしたなかTOPIXが6ポイント高の2,051ポイントとなり昨日に続いて昨年来高値を更新したほか、新興株も堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

3月から中国からの渡航者への水際対策が緩和されたことや、来週に2月の訪日外国人客数の発表を控えていることもあり百貨店株に物色の矛先が向かいました。目標株価の引き上げを受けてJ.フロント リテイリング(3086)が4.3%高となったほか、三越伊勢丹ホールディングス(3099)が4.4%高、高島屋(8233)が4.5%高、エイチ・ツー・オー リテイリング(8242)も5.1%高となり、J.フロント リテイリングと高島屋、エイチ・ツー・オー リテイリングが昨年来高値を更新しました。鳥貴族ホールディングス(3193)も一時4.7%高となりました。コロナ禍の営業時間短縮などで落ち込んだ客足の回復が続いたことなどで2月の既存店売上高が前年同月比2.7倍となり、新型コロナウイルス禍前の水準を初めて上回ったことから買いが優勢となりました。

また、目標株価の引き上げを受けてNTN(6472)や共立メンテナンス(9616)が高く、NTNが4.0%高となり昨年来高値を更新し、共立メンテナンスも5.4%高となりました。東証スタンダード市場では衣料品や玩具などの中古品販売を手がける買取王国(3181)が9.9%高となりました。衣料品やトレーディングカードなど大半の商材が順調に推移したことなどから2月の既存店売上高が前年同月比19.7%増と高い伸びとなったことで買いを集めました。一方で日産(7201)が3.5%安となりました。格付け会社のS&Pグローバル・レーティングが日産の長期発行体格付けをトリプルBマイナスから投機的水準となるダブルBプラスに1段階引き下げたと発表したことを嫌気した売りが出ました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は135円高となりました。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を受けて金融引き締めへの警戒感が改めて強まり昨日の米国市場が大幅下落となったことから売りが先行しました。しかし、寄り付きをほぼ安値に下げ渋ると持ち直し137円台後半まで円安が進んだこともあって上げ幅を三桁に広げました。そのため底堅さが強く意識されそうで節目の28,500円回復への期待も高まりそうですが、週末に日銀の金融政策決定会合の結果や米雇用統計の発表を控え様子見となりやすいなかで28,500円を超えて水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。なお、日本時間の22時15分には2月のADP全米雇用リポートが発表されるほか、9日の午前4時には米地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表される予定です。また、パウエルFRB議長の証言が昨日の米上院銀行委員会に続き、今晩は米下院金融サービス委員会で行われる予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)