東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日ぶりに小幅反落となりました。48円高の27,564円で寄り付いた日経平均は9時40分過ぎに101円高の27,617円まで上昇しましたが、朝方の買い一巡後に伸び悩むと10時10分過ぎにマイナスに転じ10時40分過ぎに107円安の27,408円まで下落しました。しかし、下げ渋ると持ち直し20円安の27,495円で前場を終えました。48円安の27,467円でスタートした後場の日経平均は14時過ぎに8円高の27,525円まで戻しましたが、昨日の終値を上回ったところでは上値が重く結局17円安の27,498円で取引を終えています。一方で新興株は堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

伊藤園(2593)が一時5.0%高となりました。経済正常化を受け国内のタリーズコーヒー事業が好調だったうえ、主力の茶系飲料も回復したことなどから第3四半期の営業利益が前年同期比で12.5%増となったことで上げ幅を広げる場面がありました。大阪チタニウムテクノロジーズ(5726)も12.9%高となりました。高炉メーカーが進めていたスポンジチタンの2023年度の国内価格交渉が前年から引き上げる方向でおおむね決着したと伝わったことで収益の改善を期待した買いが入りました。エアトリ(6191)も3.9%高となりました。全国旅行支援を契機とした旅行需要の高まりが追い風となり国内旅行が好調に推移していることなどから2023年9月期の営業利益の見通しを10億円から16億円に上方修正したことで買いが優勢となりました。高島屋(8233)も一時2.2%高となり昨年来高値を更新しました。前年度のまん延防止等重点措置の反動や高額品の売上が好調だったことなどから2月の国内百貨店の既存店売上高が前年同月比19.6%増となったことを好感した買いが入りました。

一方で大幸薬品(4574)が6.6%安となりました。主力製品の「クレベリン」をはじめとする感染管理事業の広告宣伝費や研究開発費、借入金返済などにあてるため新株予約権を発行し27億7850万円を調達すると発表したことで将来の希薄化を懸念した売りが出ました。東証スタンダード市場ではワークマン(7564)が5.3%安となりました。前年同期に売り上げ好調だったキャンプ用品が伸び悩んだことなどから2月の既存店売上高が前年同月比1.5%減と2ヶ月連続で前年割れとなったことを嫌気した売りが出ました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は17円安となりました。昨日の米国市場が小幅に高安まちまちとなり材料に乏しいなか上昇に転じ節目の27,500円を回復した昨日の堅調な地合いを引き継いで買いが先行しました。しかし、27,600円を小幅に上回ったところで伸び悩むと下落に転じました。そのため節目の27,500円を超えたところでの上値の重さが改めて意識されそうです。なお、日本時間の22時30分には米新規失業保険申請件数や2022年10-12月期の米労働生産性指数改定値が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)