先週24日に米国で発表された1月の個人消費支出(PCE)デフレーターのコア指数は前年同月比4.7%上昇となり、前月(4.6%)から加速し、市場予想も上回った。市場では、PCE物価指数の上振れを受けてFRBが再び0.5%の利上げに動くとの警戒感が台頭している。そうした状況下にあっては、市場の経済指標の受け止め方はgood news is bad news – 強い経済指標が出ると株式相場の下落要因になりかねない。その意味で今週の注目は3月1日に発表される2月のISM製造業景況指数だ。市場の予想は47.7と、前月の47.4から小幅に上昇する見通しだが、万が一、予想以上に強い数字となれば、good news is bad news – FRBの利上げ再加速懸念につながりかねないので要注意である。
しかし、市場は強い経済指標への備えはある程度、できているだろう。先週、ダウ平均は4週連続の下げとなったが、その理由のひとつが米国の景況感の改善だった。S&Pグローバルが発表した米国の製造業・サービス業合わせた2月の総合購買担当者指数(PMI)は、前月から3.4ポイント上昇して50.2。活動の拡大と縮小の境目である50を上回る8ヶ月ぶりの高水準となった。米国の景気が強いのは織り込み済みで、ISMが上振れても反応は限定的かもしれない。
こうした環境を受けて外国為替市場では再び円安基調が鮮明になっており、日本株市場の追い風になるだろう。米国の利上げ再加速懸念から米国金利が上昇しており、グロース株には逆風が吹いている。しかし、エヌビディアの好決算やTSMCの新工場建設などの材料が半導体関連株を支えるので大きな崩れはない。一方、バリュー株物色の流れは基調として強く継続するだろう。名実ともに3月相場入りとなる今週は配当権利取りの動きも活発化して一層、バリュー株物色が強まりそうだ。先週末にかけては鉄鋼や銀行などが利食い売りに押されたが、それも健全な流れである。適宜、押しを入れながらのほうが相場が長続きする。日本株は、円安、低PBR、高配当、半導体など物色の材料がそれなりにあって循環物色で底堅く推移するだろう。
中国では国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が3月5日に始まる。その直前の今週、3月1日に中国2月製造業/非製造業PMI、中国2月財新製造業PMIが発表になる。おそらく良い数字となって経済再開期待が高まるだろう。中国関連の機械、電機などのセクターに買いが向かう可能性もある。
日経平均は先週、木曜日の大幅安で25日移動平均を下回ったものの、金曜日の上昇ですぐにその水準を回復して終えた。TOPIXは下げた局面でも25日線にサポートされている。それぞれ25日線が上向きであり、地合いは悪くない。
NYダウの33,000ドル割れはここ3ヶ月のもみ合いレンジの下限であり、ここを抜けると下値のめどが見えなくなるので、堪えどころである。ただし、もみ合いレンジの下限に達したことで押し目買いで自律反発に向かえば、日本株も上値を試す動きとなるだろう。
予想レンジは2万7000~2万7900円とする。