東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は金融緩和継続への期待から3日ぶりに大幅反発となりました。40円高の27,144円で寄り付いた日経平均は9時40分過ぎに226円高の27,331円まで上昇した後一旦伸び悩みましたが、次期日銀総裁候補である植田和男氏の所信聴取と質疑での発言を受けて上げ幅を広げると10時20分に361円の27,465円まで上昇し294円高の27,398円で前場を終えました。318円高の27,422円でスタートした後場の日経平均は13時30分過ぎに283円高の27,387円を付けた後引けにかけてやや上げ幅を広げると結局349円高の27,453円と後場の高値で取引を終えています。一方で新興株は安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
昨日の米国市場で画像処理半導体のエヌビディア(NVDA)の決算を好感した買いで急伸し、他の半導体株にも買いが波及したことや、台湾のTSMCが熊本県に2番目の工場を建設する予定だとも伝わったこともあり半導体製造装置関連銘柄が大幅高となりました。東京エレクトロン(8035)が7.1%高、レーザーテック(6920)が4.1%高、SCREENホールディングス(7735)が4.8%高、ディスコ(6146)が7.5%高、アドバンテスト(6857)も8.2%高となり、ディスコは昨年来高値を更新しました。大規模な金融緩和策が当面続くとの見方から不動産株も買われました。三井不動産(8801)が一時3.0%高、三菱地所(8802)が一時1.8%高、住友不動産(8830)も一時2.4%高となりました。ばら積み船の市況を総合的に表すバルチック海運指数が2割強上昇したことから海運株も買われました。日本郵船(9101)が4.2%高、商船三井(9104)が3.4%高、川崎汽船(9107)も3.6%高となりました。
また、投資判断と目標株価の引き上げを受けてガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)や三菱ケミカルグループ(4188)が高く、ガンホー・オンライン・エンターテイメントが6.0%高、三菱ケミカルグループも一時3.0%高となりました。さらに東証スタンダード市場ではワークマン(7564)が一時3.4%高となりました。ファッション性を重視した専門店「ワークマンカラーズ」を展開する方針を示したことで顧客層の拡大を期待した買いが入りました。一方で金融緩和策が当面続くとの見方からメガバンクが軟調で、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)とみずほフィナンシャルグループ(8411)が一時2.2%安となったほか、三井住友フィナンシャルグループ(8316)も一時2.3%安となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は349円高となりした。昨日の米国市場が自律反発を見込んだ買いが入りダウ平均が反発したことやナスダック総合株価指数も続伸となったことで買いが優勢となりました。また、次期日銀総裁候補である植田和男氏が衆議院で所信聴取と質疑を受け、現在の日銀が行っている金融政策は適切との認識を示し、2%の物価目標を柱とした政府・日銀の共同声明についても現在の物価目標の表現を当面変える必要はないとの見解を述べたことから現状の金融緩和策が当面続くとの見方が広がり上げ幅を広げました。
しかし、節目の27,500円を前に伸び悩みました。そのため上値の重さがやや意識されそうですが、昨日に割り込んだ200日移動平均線(27,271円)や25日移動平均線(27,418円)を回復したことで下値への警戒感は一旦後退しそうです。なお、日本時間の22時30分に1月の米個人所得と個人消費支出(PCE)が発表されるほか、25日午前0時には2月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値と1月の米新築住宅販売件数が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)