東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて反発しました。278円高の27,705円で寄り付いた日経平均は直後に294円高の27,721円を付けた後伸び悩むと10時30分過ぎに125円高の27,553円まで上げ幅を縮め152円高の27,579円で前場を終えました。150円高の27,577円でスタートした後場の日経平均は直後に133円高の27,561円を付けた後やや上げ幅を広げ大引け間際に198円高の27,625円まで上昇すると結局175円高の27,602円で取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

シチズン時計(7762)が16.2%上昇しストップ高となり昨年来高値を更新しました。自己株式を除く発行済み株式総数の25.61%にあたる7500万株、400億円を上限とした大規模な自社株買いを発表したことで買いを集めました。第3四半期決算を発表したロート製薬(4527)も11.5%高となり上場来高値を更新しました。日本セグメントやアジアセグメントが想定を上回って好調に推移していることなどから通期の営業利益の見通しを310億円から330億円に上方修正したことで大幅高となりました。ライオン(4912)も5.6%高となりました。2022年12月期の営業利益は前期比で7.5%減となりましたが、第4四半期3ヶ月間の営業利益が前年同期比で13.1%増となり増益に転じたことを好感した買いが入りました。また、目標株価の引き上げを受けて昨年来高値を更新したのが日本製鉄(5401)やSANKYO(6417)で、日本製鉄が一時2.4%高、SANKYOも一時5.5%高なりました。

一方でリクルートホールディングス(6098)が5.0%安となりました。高成長を続けてきた米求人検索サイト「インディード」が失速したことなどから第3四半期の営業利益が前年同期比で2.6%減となったことで大幅安となりました。サンリオ(8136)も4.6%安となりました。1月にキャラクターの知的財産権などを管理する事業で売り上げの計上時期を操作していた疑いが発覚し、特別調査委員会が進める事実関係の確認や原因究明の調査に時間を要するため14日に予定していた第3四半期の決算発表を3月16日に延期すると発表したことを嫌気した売りが出ました。本決算を発表した電池素材メーカーのダブル・スコープ(6619)も18.1%安となりました。一部の製膜ラインでの製造の一時停止などにより費用を計上することなどから2023年12月の営業利益が前期比で29.8%減となる見通しを発表したことで売りが膨らみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は175円高となりました。寄り付き前の8時50分に発表となった2022年10-12月期の実質GDPは前期比0.2%増、年率換算で0.6%増に止まり市場予想を下回りましたが、インフレ鈍化を期待した買いで昨日の米国市場が上昇したことから反発となりました。しかし、1月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えていることから上値追いの動きも限定的で朝方の買い一巡後に伸び悩んだうえ、後場は値幅が64円となるなど様子見ムードが強まりました。その米CPIは日本時間の22時30分に発表となります。前年との比較で伸びの鈍化が見込まれていることもありマーケットの反応が注目されます。

なお、1月下旬からスタートした決算発表も終盤ですが本日も引け後には出光興産(5019)や日本郵政3社、東京海上ホールディングス(8766)、キリンホールディングス(2503)、JT(2914)、楽天グループ(4755)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)