モトリーフール米国本社、2023年2月7日 投稿記事より

主なポイント

・マクドナルドは成長性と収益性で勝っている
・P&Gの株価は相対的に割安

どちらもNYダウを構成する超大手企業であり、足元の株価は魅力的

ここにきて、マクドナルドとプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の人気が高まっています。どちらもNYダウを構成する超大手企業であり、市場のボラティリティが高まる中で安定性と配当が好感され、2022年はこれまで市場をアウトパフォームしています。

ポートフォリオに加えるとしたら、どちらの銘柄が良いでしょうか。2022年後半にかけての最新の業績トレンドを発表したばかりの、優良企業2銘柄を比較してみましょう。

成長スピードが速いマクドナルド

両社とも、市場環境が厳しい中で売上を伸ばしていますが、成長率ではマクドナルドが勝っています。2022年10-12月期のマクドナルドの既存店売上高は12%増となり、7-9月期の10%増から伸びが加速しました。一方のP&Gは、既存事業の売上高は7%増から5%増に減速しました。

売上高をもう少し詳しく見てみると、マクドナルドの強さがよく分かります。通期の既存店売上高10%増は、客単価の5%増と来客数の5%増によってもたらされました。P&Gの増収は、すべて値上げによるものでした。P&Gは10-12月期に10%の値上げを実施し、販売数量は6%減となりました。

利益を比較

収益性という観点では、両社はそれぞれの業界でトップクラスを誇ります。マクドナルドの営業利益率は40%を上回るのが常で、地球上で最も収益性の高い企業の1つと言えます。P&Gの営業利益率は22%で、キンバリークラーク(KMB)などの同業他社を大きく上回ります。

皮肉なことに、今後の見通しはP&Gの方が良好です。マクドナルドは、ほとんどの直営店をフランチャイズ店に転換するという戦略がほぼ完了し、そこから得られる利益は既に出尽くしています。また、インフレの影響で卵などの主要食材の値上げが続いているため、利益率は今後、若干低下する見通しです。

一方のP&Gは、ランドリー用品や美容製品といった主要カテゴリーで、既に大幅な値上げを実施済みです。これらの値上げは、2022年後半に販売数量の重石となりましたが、2023年に圧力が弱まれば、力強い利益回復の原動力となる可能性があります。

バリュエーションとリターン

両社に対する投資家の評価は、若干異なります。P&Gの株価売上高倍率(PSR)は、パンデミック初期に付けた約6倍をピークに、現在は4.4倍に低下しています。それでも、成長率が低く、利益率も低いキンバリークラークと比べると依然として割高です。

マクドナルドのPSRは約9倍と、ピークに近い水準にあります。投資家は、急速な売上成長、強力なキャッシュフロー、市場を凌駕する収益性を織り込んで、同社に高いプレミアムを支払っているのです。

成長重視の投資家であれば、バリュエーションが高くても、マクドナルド株を選好するでしょう。保守的な投資家であれば、割安な株価と足元で利回り2.6%の高配当を理由に、P&Gに引き寄せられるはずです。P&Gはまた、過去5年間に毎年自社株買いを実施しており、今後も自社株買いを通じて多額の利益を株主に還元する予定です。

好材料として、両銘柄とも、この1年間に割安感が増しており、2023年以降のボラティリティにも動じずに保有し続けられる投資家に、確実なリターンをもたらすと思われます。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Demitri Kalogeropoulosは、マクドナルドの株式を保有しています。モトリーフール米国本社は、記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフールは情報開示方針を定めています。