【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 34,092.96  △6.92 (2/1)
NASDAQ: 11,816.32  △231.77 (2/1)

1.概況

米国市場は早期の利上げ停止を期待した買いで続伸となりました。46ドル安でスタートしたダウ平均は徐々に下げ幅を広げるなかFOMCの結果発表を受けて利上げ継続が意識され一段安となり一時は504ドル安まで下落しましたが、パウエルFRB議長が会合後の会見でディスインレーションのプロセスが始まったといえると発言し、インフレの鈍化に言及したことで利上げの終了が近いとの観測が強まり急速に下げ渋りました。会見中にプラスに転じたダウ平均は取引終盤に一時248ドル高まで上昇しました。しかし、引けにかけて急速に上げ幅を縮めると結局6ドル高の34,092ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も231ポイント高の11,816ポイントとなり2%高の大幅上昇となっています。

2.経済指標等

米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)は政策金利を0.25%引き上げることを決めました。利上げ幅は前回会合の0.5%から縮小となっています。また、声明ではインフレは幾分鈍化したものの、継続的な引き上げが適切との前回までの表現を維持しています。さらに1月のADP全米雇用リポートで民間部門雇用者数は10万6000人増となり市場予想を下回りました。1月の米ISM製造業景況感指数も47.4と前月から低下し、景気の拡大と縮小の分岐点となる50を3ヶ月連続で割り込み市場予想を下回りました。12月の米建設支出も年率換算で前月比0.4%減となり市場予想を下回っています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち10業種が上げ、情報技術が2%を超える上昇となったほか、一般消費財・サービスも2%近く上げました。また、コミュニケーション・サービスも1%を上回る上昇となっています。一方でエネルギーが2%近く下げています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄では長期金利の低下を受けてハイテク株が買われるなかインテル(INTC)が3%近く上げたほか、セールスフォース(CRM)も2%を超える上昇となりました。マイクロソフト(MSFT)も2%近く上げています。一方でトラベラーズ(TRV)が3%余り下げ、目標株価の引き下げを受けてアムジェン(AMGN)も2%を超える下落となりました。

ダウ平均構成銘柄以外では、半導体株の上昇が目立ち決算で売上高や1株利益が市場予想を上回ったアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が12%を上回る上昇となったうえ、エヌビディア(NVDA)も7%余り上げました。マイクロン・テクノロジー(MU)とクアルコム(QCOM)も4%近く上昇しています。また、主力ハイテク株も堅調でテスラ(TSLA)が4%を上回る上昇となり、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(META)とネットフリックス(NFLX)も2%以上上げています。アマゾン・ドット・コム(AMZN)も2%近く上昇しています。さらに経営幹部を10%超削減すると発表した物流のフェデックス(FDX)が4%を超える上昇となっています。

5.為替・金利等

長期金利はパウエルFRB議長が会見でインフレ鈍化に言及したことで利上げの終了が近いとの観測が強まり0.09%低い3.42%となりました。こうしたなかドル円は円高に振れ129円近辺で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国株高を受けて堅調なスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の27,500円を試すような動きをみせるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)