東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株高を受けて小幅に続伸となりました。2円高の27,384円とほぼ横ばいで寄り付いた日経平均は取引開始から15分余りで103円高の27,486円まで上昇した後伸び悩むとマイナスとなり9時30分過ぎに31円安の27,350円まで下落しましたが、下げ渋ると持ち直し91円高の27,473円で前場を終えました。44円高の27,426円でスタートした後場の日経平均は12時40分に69円高の27,452円まで上昇した後上げ幅を縮めるとドル円が一時129円台前半まで円高に振れたこともありマイナスに転じ13時20分前に45円安の27,337円まで下落しました。しかし、下げ渋ると持ち直し結局50円高の27,433円で取引を終えました。一方でTOPIXは小幅に下落となりましたが、新興株は高く東証マザーズ指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
第3四半期決算を発表したファナック(6954)が3.6%高となりました。電気自動車の生産増などを背景にロボットが伸びていることなどから通期の営業利益の見通しを1817億円から1844億円に上方修正したうえ、約37年ぶりとなる株式分割を発表したこともあり大幅高となりました。本決算を発表したキヤノン電子(7739)も9.8%高となりました。経済活動の再開でカメラの需要が回復し、レンズ交換式カメラ用シャッターなどの販売が伸びるとみられることなどから2023年12月期の営業利益が前期比で11.5%増となる見通しを発表したことで買いを集めました。SGホールディングス(9143)も4.8%高となりました。第3四半期決算を発表し、逼迫していた北米向け国際物流の需給が2022年秋以降緩み、運賃下落に加えて貨物量も減り採算が悪化したことなどから通期の営業利益を下方修正しましたが、個人が利用する宅配便の基本運賃を傘下の佐川急便が4月1日から平均で約8%引き上げすると発表したことで来期以降の業績改善を期待した買いが入りました。
また、宅配便を手掛けるヤマトホールディングス(9064)やセイノーホールディングス(9076)、福山通運(9075)などにも買いが波及し、ヤマトホールディングスが6.5%高、セイノーホールディングスが一時5.7%高、福山通運も5.3%高となり、イノーホールディングスは昨年来高値を更新しています。一方で後場に入って第3四半期決算を発表した積水化学工業(4204)が4.0%安となりました。中国を中心にスマートフォンの在庫調整が続き市況が低迷していることでエレクトロニクス分野が苦戦していることなどから通期の営業利益の見通しを1000億円から950億円に下方修正したことで売りが優勢となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は50円高となりました。米個人消費支出(PCE)デフレーターの伸びが前月から鈍化したことで米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを緩めるとの見方が強まり先週末の米国市場が続伸となったことで買いが優勢となりました。しかし、節目の27,500円を前に上値が押さえられると一時マイナスとなるなど伸び悩み小幅高で取引を終えました。そのため先週末に続いて27,500円近辺での上値の重さが意識されそうで、本格化する決算発表などを支えに27,500円を超えて水準を切り上げることができるかが今週はポイントとなりそうです。なお、本日も引け後にはオリエンタルランド(4661)やオムロン(6645)、キヤノン(7751)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)などが決算を発表する予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)