【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 33,296.96 ▼613.89 (1/18)
NASDAQ: 10,957.01 ▼138.10 (1/18)
1.概況
米国市場は米小売売上高や米鉱工業生産指数などの冴えない経済指標を受けて景気減速懸念が意識され大幅下落となりました。37ドル高でスタートしたダウ平均は米卸売物価指数(PPI)が市場予想を下回ったことで米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを緩めるとの見方が強まり朝方に105ドル高まで上昇しましたが、買い一巡後に伸び悩むとマイナスに転じ大きく下げ幅を広げました。引け間際に640ドル安まで下落したダウ平均は結局613ドル安の33,296ドルで取引を終え続落となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も138ポイント安の10,957ポイントとなり8日ぶりに反落となりました。
2.経済指標等
12月の米卸売物価指数(PPI)は前月比0.5%低下し市場予想を下回りました。12月の米小売売上高も前月比1.1%減となり市場予想を下回りました。12月の米鉱工業生産指数も前月比0.7%低下し市場予想を下回り、設備稼働率も前月から0.6ポイント低下の78.8%となり市場予想を下回っています。一方で1月の全米住宅建設業協会(NAHB)住宅市場指数は前月から4ポイント上昇の35ポイントとなり市場予想を上回りました。11月の米企業在庫は前月比0.4%増となり市場予想と一致しています。また、米地区連銀経済報告(ベージュブック)で米連邦準備理事会(FRB)は全体的な経済活動は前回の報告期間から相対的に変化していないとしています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでも生活必需品と公益事業が2%を超える下落となったほか、資本財・サービスと金融も2%近く下げています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は30銘柄全てが下げました。そのなかでもハネウェル・インターナショナル(HON)とIBM(IBM)、スリーエム(MMM)、コカ・コーラ(KO)、JPモルガン・チェース(JPM)が3%以上下げたほか、マクドナルド(MCD)も3%近く下落しています。また、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)とインテル(INTC)、ウォルマート(WMT)、シスコシステムズ(CSCO)、アメリカン・エキスプレス(AXP)、ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)、セールスフォース(CRM)も2%以上下げています。
ダウ平均構成銘柄以外では、バイオ製薬のモデルナ(MRNA)が開発中のRSウイルス感染症に対するワクチンの第3相の治験で良好な結果が出たと発表したことで3%を上回る上昇となりました。自動運転向け半導体のモービルアイ・グローバル(MBLY)も買いの投資判断を受けて6%余り上げています。
5.為替・金利等
長期金利はインフレ鈍化と景気減速を示す米経済指標が相次ぎ米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めペースが和らぐとの見方から0.18%低い3.37%となりました。ドル円は128円台後半で推移しています。金融政策の現状維持を決めた日銀の金融政策決定会合の結果を受けて一時131円台半ばまで円安が進みましたが、その後は次第に円買いの勢いが増し127円台半ばまで円高が進む場面もありました。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国株安と円高を受けて下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の26,500円を維持できるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)