東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けてわずかながら3日ぶりに反発しました。194円高の26,288円で寄り付いた日経平均は直後に227円高の26,321円を付けた後伸び悩むと10時40分に4円高の26,097円まで上げ幅を縮めましたが、マイナスになることなく踏み止まると持ち直し74円高の26,168円で前場を終えました。93円高の26,186円でスタートした後場の日経平均は12時50分過ぎに125円高の26,218円を付けた後上げ幅を縮めるとマイナスに転じ14時30分過ぎに25円安の26,067円まで下落しました。

しかし、下げ渋るとまもなくしてプラスに転じわずかに上昇し、ほぼ横ばいの26,094円で取引を終えています。一方でTOPIXは小幅に下落となりましたが、新興株は高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

第3四半期決算を発表したカジュアル衣料大手のアダストリア(2685)が17.0%高となり年初来高値を更新しました。新型コロナウイルス感染防止対策の行動制限が緩和されて外出や旅行の機会が増加し衣料品の販売が伸びていることなどから通期の営業利益の見通しを100億円から125億円に上方修正し、市場予想も上回ったことで買いを集めました。

また、アダストリアの急伸が波及しセレクトショップのユナイテッドアローズ(7606)も一時3.8%高となっています。ビジネスホテルや学生寮を展開する共立メンテナンス(9616)も一時3.1%高となりました。10月から始まった政府の観光促進策「全国旅行支援」や、新型コロナウイルス禍からのインバウンド需要回復を受けホテルの稼働率が高水準で推移したことで11月のグループ売上高が前年同月比33%増の180億円だったと発表したことから買いが優勢となりました。

また、第2四半期3ヶ月間の営業利益が前年同期比で増益に転じたことで昨日に買われたウェザーニューズ(4825)が投資判断と目標株価の引き上げを受けて本日も高く一時4.3%高となっています。東証グロース市場ではクラウド会計ソフトのフリー(4478)が4.1%高となりました。2023年10月に始まるインボイス(適格請求書)制度に向けた取り組みの1例として電子商取引(EC)サイトで購入した際、簡単にインボイスに対応できるサービスを始めると伝わったことが材料視されました。一方で金融機関や通信会社のシステム構築を手掛けるDTS(9682)が投資判断と目標株価の引き下げを受けて4.4%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均はわずかに上昇となりました。米長期金利が低下したことでハイテク株などに買い戻しが入り昨日の米国市場が上昇したことからやや買いが優勢となりました。5日移動平均線(26,276円)を小幅に上回ったところで上値が押さえられると伸び悩み後場にはマイナスとなる場面もありましたが、大納会をわずかながら何とか上昇で終えることができました。

しかし、日銀による金融緩和政策の修正をきっかけに年末にかけて26,000円近くまで調整したこともあり今年の年間パフォーマンスは9.4%の下落と4年ぶりのマイナスとなりました。来年は卯年です。「卯は跳ねる」の相場格言もあることから来年の上昇相場に期待したいところですが、そのためにもまずは大発会で幸先の良いスタートを切れるかが注目されます。

今年も当欄をご愛読いただき誠にありがとうございました。
2023年もどうぞよろしくお願いいたします。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)