東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は4日続落となりました。141円安の27,886円で寄り付いた日経平均は取引開始から15分で194円安の27,832円まで下落した後10時過ぎに108円安の27,918円まで戻しましたが、再び下げ幅を広げると10時30分過ぎに225円安の27,802円まで下落し169円安の27,858円で前場を終えました。126円安の27,901円でスタートした後場の日経平均は12時50分に144円安の27,883円まで下落した後持ち直し引けにかけて下げ幅を縮めると結局58円安の27,968円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が1%を上回る下落となっています。
2.個別銘柄等
バイオ製薬の米バイオジェン(BIIB)と共同開発するアルツハイマー型認知症治療薬「レカネマブ」の治験参加者が脳出血で死亡したと伝わったことで昨日に大幅安となったエーザイ(4523)が3.8%高となりました。エーザイから死亡例はレカネマブに起因するものではないとの説明があったうえ、早期アルツハイマー病に対する臨床第3相試験の主要評価項目で有効性が確認されたと発表したこともあり見直し買いが優勢となりました。SUBARU(7270)も3.0%高となりました。国内生産が大幅に回復したことなどから10月の輸出が前年同月比38.4%増の4万988台だったと発表したことで輸出の回復を好感した買いが入りました。
また、目標株価の引き上げを受けて買われたのが日本電波工業(6779)やIHI(7013)、セイコーグループ(8050)で、日本電波工業が10.1%高、IHIが6.5%高、セイコーグループも一時3.3%高となりました。
一方で東京ガス(9531)が一時2.2%安となりました。2023年1月のガス料金の値上げを発表しましたが、平均原料価格が価格転嫁できる上限を超えたため原料費の一部が自己負担になることから売りが優勢となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は58円安となりました。金融引き締めの長期化を警戒した売りが出て昨日の米国市場でS&P500株価指数とナスダック総合株価指数が下落したことで続落となり節目の28,000円を割り込みました。25日移動平均線(27,791円)を前に下げ渋ると後場に入って持ち直しましたが、節目の28,000円を上回ってくると押し戻される展開が続くなかで28,000円を下回ったことで28,000円を超えたところでの上値の重さが改めて意識されそうです。
なお、日本時間の22時15分に11月のADP全米雇用リポートが、22時30分に7-9月期の米GDP改定値が、23時45分に11月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)が発表されるほか、1日の午前4時には米地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表される予定です。
また、午前3時30分にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演が予定されています。足元ではFRB高官から金融引き締めに積極的なタカ派発言が相次いでいることもありマーケットの反応が注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)