5日移動平均線の向きの変化に要注意

先週は祝日の関係でお休みとなりましたが、その間に株価に変化が現れたようです。

前回のコラムで解説したように、上向きの5日移動平均線上を維持したことからレンジの上限を上回り、9月13日につけた高値に接近するとともに、9月にあけた2つの窓のうち、9月9日と12日の間にあけた窓埋め、残りの9月13日と14日の間にあけた窓を埋めるぎりぎりの水準まで上昇する場面がありました。

ただ、11月月28日に5日移動平均線をわずかに割り込むと、翌29日は明確に5日移動平均線を下回って終えているのが分かります。

さらにレンジの上限を再び下回っていることに加え、ウェッジ型のもち合いの下限も下回る結果となっています。こうなってしまうと重要なのは、5日移動平均線の向きになると思われます。

なぜなら、5日移動平均線は短期のトレンドを表しているため、5日移動平均線の向きが上向きを続けるか、下向きに変化してしまうかで、レンジの上限を早期に回復できるかどうかの判断材料になると考えられるからです。

そのため、仮に株価が5日移動平均線を下回ったままの状態が続くようですと、5日移動平均線が下向きに変化して、短期の下降トレンドが発生することが考えられます。

その一方、5日移動平均線上を回復するようですと、5日移動平均線の向きは上向きを続けることになり、レンジの上限を再び上回ることが視野に入り、年末高に向けた上昇が期待されるのではないかと思われます。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※赤い丸=埋まっていない窓、青い丸=埋まった窓

75日移動平均線上を維持できるか注目

では、今後の展開について中長期の移動平均線に注目してみたいと思います。75日移動平均線と200日移動平均線です。11月29日現在の75日移動平均線の向きを見ますと、わずかですが下向きに変化しています。その一方、200日移動平均線は緩やかな上向きを示しています。

このように中期と長期の移動平均線の向きが異なっている状態から考えられることは、2本の移動平均線の向きが揃うまで、トレンドが出にくいのではないかということです。

トレンドは短期、中期、長期と各々の方向が同じになって初めて継続するものです。そのため、今回のように5日移動平均線が上向き、75日移動平均線が下向き、200日移動平均線が上向きと異なる方向を示している間は、レンジ内での値動きが継続することが予想されるのです。

ただ、株価の動き次第では移動平均線の向きも変化してきますので、毎日チェックしておく必要があります。

そのような中、年末高に向けた上昇トレンドが発生するためには、全ての移動平均線が上向きに変化する必要がありますが、最も重要なのは75日移動平均線が上向きに変化することになると思われます。

したがって、仮に今後下落が続いた場合でも、75日移動平均線が上向きに変化するためには、75日移動平均線上を維持することが必須と言えるのです。

その反面、75日移動平均線を下回って戻せなくなるようですと、レンジ内での値動きが続き、場合によっては、200日移動平均線を下回ることも視野に入るため、全ての移動平均線が下向きに変化するきっかけとなることも考えられます。

年末相場を考える上で、難しい局面に差し掛かっていますが、株価のトレンドを考える上で、移動平均線の向きに注目し、今後のトレンドを考えるための判断材料に役立ててほしいと思います。