モトリーフール米国本社、2022年11月20日 投稿記事より

主なポイント

・ホームデポは、マクロの逆風にもかかわらず、直近四半期に売上高と既存店売上高が順調に成長
・持続的な競争優位性から恩恵を享受している
・株価への圧力により、バリュエーションは魅力的な水準にある

第3四半期決算は市場予想を上回る

特に大規模小売店にとって、ここ数ヶ月は良好な環境ではありませんでした。高インフレを背景とした消費者需要の減退と迫り来る景気後退が、売り上げの伸びを圧迫しています。積み上がる在庫を解消するための積極的な販促活動も、収益率の重石となっています。こうした状況の中、重要なホリデーシーズンの商戦が幕を開けようとしています。

小売り大手ホームデポは、実際の業績は極めて好調に推移していますが、市場の悲観論を免れることができずにいます。株価は2021年12月に付けた過去最高値から25%下落しており、ホームデポへの投資について、じっくり検討する時かもしれません。

最新の四半期決算

先日発表された8-10月期(2023年1月期第3四半期)決算では、売上高は前年同期比5.6%増の389億ドル、希薄化後1株当たり利益(EPS)は8.2%増の4.24ドル、小売業界の重要指標として注目される既存店売上高は4.3%増でした。売上高、利益ともに市場予想を上回る結果となりました。

当然のことながら、第3四半期の重要テーマは、足元の経済状況が事業にどのような影響を及ぼしているかということでした。リチャード・マクファイル最高財務責任者(CFO)は決算説明会の中で、「私たちは今、広範囲にわたる40年ぶりの高インフレ環境の下で事業を行っています。それと同時に、世界的なサプライチェーンへの制約にも対処しなければならず、さらに金融政策は、需要の抑制を目的とする方向に転換しています」と語りました。

同社は、厳しい環境下でも成長を続けています。DIYの顧客もプロフェッショナルの顧客も、前年同期比で増加しています。取引件数は4.3%減少しましたが、平均客単価は8.8%増加しました。売り場面積1平方フィート当たりの売上高も5.3%増加し、これも良好なトレンドです。

ホームデポの事業が今後5年以上にわたって低迷することを示す根拠は何もありません。確かに、米国の住宅市場との関わりが深いことから、景気の浮き沈みに左右されやすいのかもしれませんが、同社は長年にわたって繫栄してきました。これは今後も変わることはないでしょう。

テッド・デッカーCEOは決算説明会で、「短期的な不確実性はあるものの、ホームセンターへの需要は長期的に堅調であり、当社は独自の競争優位性を活かして、業界の魅力的な成長機会を捉えられるポジションにあると考えています」と述べました。

経営陣は、通期のガイダンスを据え置き、既存店売上高は3.0%増、希薄化後EPSは1桁台半ばの増加を見込んでいます。

競争優位性

ホームデポの競争力について冷静に見極めて、評価してみましょう。顧客の視点で見ると、同社は豊富な品揃えと低価格で大きな価値を提供しています。個人経営の工具店もありますが、品揃えと価格ではホームデポに太刀打ちできません。その結果、ホームデポには強力なブランド力が確立されています。

過去12ヶ月間の売上高は1,573億ドルであり、規模では圧倒的な優位性があります。規模の大きさにより、同社は1万社を超えるサプライヤーと好条件で交渉することができ、単位当たりコストを引き下げることが可能になっています。こうした状況が収益性の向上につながり、第3四半期の営業利益率は、前年同期の9.6%から15.8%に上昇しました。

そして最後に、ホームデポは、少なくとも建設請負業者や電気技師といったプロフェッショナル顧客に関して、スイッチング・コストから恩恵を受けています。プロフェッショナル顧客はホームデポの売上高全体の約半分を占め、彼らにとってホームデポの2,319店舗のネットワークは、必要な時に適切な道具や消耗品、専門知識を提供してくれる重要パートナーとして不可欠な存在なのです。プロフェッショナル顧客は、一度関係が築かれると別のプロバイダーに乗り換える可能性が低くなる傾向にあります。

株価のバリュエーション

株価は年初来で25%下落しており、株価収益率(PER)は18.8倍となっています。このバリュエーションは、ホームデポの過去10年間の平均PERに対して17%割安であるだけでなく、S&P500指数のPERよりも低い水準です。

通常、業界をリードし、現在のような環境でも成長し続ける優良企業の株価が割安になることはめったにありません。ホームデポ株は、今がまさに買い時かもしれません。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Neil Patelは、記載されているどの銘柄にもポジションを保有していません。モトリーフール米国本社はホームデポの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。