東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株高を受けて3日ぶりに反発しました。207円高の27,406円で寄り付いた日経平均は節目の27,500円を前にしばらく伸び悩みましたが、10時30分頃から上げ幅を広げ27,500円を上回ると11時前に377円高の27,576円まで上昇し328円高の27,528円で前場を終えました。376円高の27,576円でスタートした後場の日経平均は値幅69円と小動きとなったものの27,500円を上回って高値圏で推移すると結局327円高の27,527円で取引を終えています。こうしたなか新興株も堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
上期決算を発表したJFEホールディングス(5411)が7.2%高となりました。鉄鋼事業で原料コスト上昇分の価格転嫁を進めたことで利益の改善が見込まれることなどから通期の事業利益の見通しを2350億円から2550億円に上方修正したことで大幅高となりました。
同じく上期決算を発表したサンリオ(8136)も12.9%高となり年初来高値を更新しました。国内の人流回復で運営するキャラクター商品販売店やテーマパークで客数が増えていることや、海外でキャラクターの使用権利を販売するライセンス事業も伸びていることなどから通期の営業利益の見通しを47億円から70億円に引き上げたことで一時17.7%上昇しストップ高となる場面がありました。村田製作所(6981)も一時3.0%高となりました。約450億円を投じて中国江蘇省の工場に生産棟を新設し主力の電子部品の積層セラミックコンデンサーの部材を増産すると伝わったことを材料視した買いが入りました。
一方で上期決算を発表し通期の業績予想を下方修正したシャープ(6753)やリコー(7752)が売られました。シャープは液晶パネルの市況低迷の影響などから通期の営業利益の見通しを650億円から250億円に引き下げたことで3.3%安となり、リコーも一部部品で取引先からの調達トラブルにより生産や出荷に遅れが出ていることなどから通期の営業利益の見通しを900億円から850億円に引き下げたことで7.8%安となりました。また、日本テレビホールディングス(9404)も地上波放送の広告収入が落ち込むうえ、デジタル広告収入も伸び悩むことなどから通期の営業利益の見通しを500億円から430億円に引き下げたことで3.9%安となり年初来安値を更新しています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は327円高となりました。米雇用統計で雇用者数が市場予想を上回って増加したものの金融政策の見通しを変えるほどの強い内容ではないとの見方から買い戻しが入り先週末の米国市場が反発となったことで大幅高となりました。一目均衡表の雲の上限(27,580円)に上値を押さえられましたが、節目の27,000円や200日移動平均線近辺での底堅さを確認した翌営業日に反発し、節目の27,500円を回復したことから明日以降に75日移動平均線(27,611円)を超えてさらに水準を切り上げるような展開への期待も出てきそうです。
なお、決算発表が本格化していますが、本日も引け後にはオリックス(8591)やヤマトホールディングス(9064)、NTTデータ(9613)などが決算を発表する予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)