東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株安を受けて大幅続落となりました。291円安の27,371円で寄り付いた日経平均は直後に274円安の27,389円を付けた後下げ幅を広げると10時20分過ぎに631円安の27,032円まで下落しましたが、節目の27,000円を前に下げ渋るとやや戻し560円安の27,103円で前場を終えました。547円安の27,115円でスタートした後場の日経平均は13時30分前に585円安の27,078円まで下落した後やや持ち直すと結局463円安の27,199円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
上期決算を発表したコニカミノルタ(4902)が8.9%高となりました。物流網の混乱が和らぎつつあるうえ、設計変更や調達先拡大などによる部品不足への対策も寄与し主力の事務機で積み上がっていた受注残の解消が進んだことなどから7-9月の営業損益が5四半期ぶりに黒字に転換したことから買いを集めました。
同じく上期決算を発表した三菱自動車工業(7211)も18.0%高となりました。新型車の投入や円安が利益を押し上げるうえ、構造改革の効果も出ることなどから通期の営業利益の見通しを1100億円から1700億円に上方修正したことで買いが膨らみました。また、エービーシー・マート(2670)も良好な天候を受けて東京や大阪など主要都市の客数が大きく伸びたことなどから10月の既存店売上高が前年同月比20.2%増となったことで5.8%高となり年初来高値を更新しています。
一方で上期決算が大幅減益となったエムスリー(2413)やZホールディングス(4689)が大幅安となりました。エムスリーは新型コロナウイルスのワクチン接種支援事業による収益貢献が減ったことなどから上期の営業利益が前年同期比で41.4%減となったことで9.0%安となり、Zホールディングスもデジタル広告などを含むメディア事業の成長鈍化などから上期の営業利益が前年同期比で13.8%減となったことで14.2%安となりました。さらに第3四半期決算を発表したAGC(5201)も9.3%安となりました。東南アジアでの塩化ビニール樹脂の販売価格下落や天然ガスなど燃料価格の高止まりが収益を圧迫することなどから通期の営業利益の見通しを2300億円から1900億円に下方修正したことで売りがかさみました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は463円安となりました。米連邦公開市場委員会(FOMC)の後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見での発言を受けてFRBによる金融引き締めが長引くとの見方が強まり米国市場でダウ平均が2日と3日の2日間で650ドルを超す下落となったことから大幅安となりました。しかし、一時は630円以上下落しましたが、節目の27,000円を前に下げ渋ると持ち直し200日移動平均線(27,164円)を小幅に上回って取引を終えています。そのため大きな下げとなったものの来週も27,000円や200日移動平均線近辺での底堅さが意識されそうです。
なお、日本時間の21時30分には10月の米雇用統計が発表されます。今後のFRBによる金融政策を占ううえで関心の高い経済指標だけにマーケットの反応が注目されます。また、決算発表が本格化していますが本日も引け後にはJFEホールディングス(5411)やリコー(7752)、ソフトバンク(9434)などが決算を発表する予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)