モトリーフール米国本社、2022年10月23日 投稿記事より
主なポイント
・ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイの投資方針は長期保有
・また、景気の良し悪しに左右されない銘柄を選好
2023年には、すべての業界が深刻な景気後退に直面する見通し
伝説の投資家ウォーレン・バフェット氏と、同氏が率いるバークシャー・ハサウェイ(BRK.A、BRK.B)は以前から、資産規模で米国第2位の銀行であるバンク・オブ・アメリカに本格的に投資しています。
現在は、バンク・オブ・アメリカの発行済株式の12.9%に相当する10億株超を保有しています。バークシャー・ハサウェイが保有する約3,240億ドルの株式ポートフォリオのうち、バンク・オブ・アメリカは11%近くを占め、2番目に大きいポジションとなっています。
投資家は、2023年に米国経済が深刻な景気後退に陥ることを懸念しており、バンク・オブ・アメリカの株価も2022年に入って下落していますが、同行の利益見通しは極めて良好です。
バンク・オブ・アメリカの事業レバレッジ
事業レバレッジとは、銀行株の投資家が注目する重要な指標で、事業レバレッジを達成するということは、収入が費用を上回るペースで成長していることを意味するため、好材料とみなされます。バンク・オブ・アメリカは先日の第3四半期決算発表の中で、5四半期連続で事業レバレッジを達成したことを明らかにしました。これにはいくつかの要因があります。
まず、融資や有価証券による収益から資金調達コストを除いた、銀行にとっての利益を示す純金利収入は、金利上昇を受けて急増しました。金利が上昇すると、多くの融資や保有債券の利回りが上昇するため、銀行が預金コストの上昇を抑えることができれば、利ざやは拡大します。
バンク・オブ・アメリカの第3四半期の純金利収入は、前四半期比14億ドル増の138億ドルとなり、会社側の予想を上回る結果となりました。経営陣は、米連邦準備制度理事会(FRB)が予想通りに利上げを実施すれば、第4四半期の純金利収入が前期比でさらに12億5,000万ドル以上増加し、2023年も増加傾向が続くと見込んでいます。
一方で、事業レバレッジのもう1つの変数である費用面でも、バンク・オブ・アメリカは成果を挙げています。2022年の総経費は前年比で微増にとどまる見通しであり、これは足元のインフレ圧力を考えると素晴らしいことと言えます。
さらに、2023年の経費も1桁台前半の増加にとどまる見通しです。純金利収入で大幅な増加が続き、経費の増加が最小限に抑えられれば、2023年の事業レバレッジも好調が期待されます。
強固な資本基盤
バンク・オブ・アメリカは、10月に入って資本要件の引き上げに直面しましたが、迅速に対応し、資本基盤を強固にしています。
FRBが毎年実施しているストレステストの結果、バンク・オブ・アメリカは、融資などのリスク加重資産(RWA)に対して規制上求められる自己資本が引き上げられることが明らかになりました。つまり、資本を増強する必要があるということで、多くの投資家は、同行の自社株買い見通しについて懸念しています。
とはいえ、バンク・オブ・アメリカは、第3四半期に堅調な純利益を生み出して資本が強化された一方で、RWAは減少しています。9月末時点において、同行は新たな自己資本要件に対して十分なバッファーを確保しています。堅調な利益と資本増強を背景に、同行は第3四半期に4億5,000万ドルの自社株買いを実施しました。経営陣は、自社株買いの規模を引き上げる意向です。
その上、与信の質は極めて良好な水準を維持しています。バンク・オブ・アメリカは現在、第3四半期に同行が予想していた貸倒損失の6倍に相当する貸倒引当金を維持しています。
バフェット氏は銘柄選択の達人
現在は明らかに不確実な要素が多く、米国経済は2023年に正式に景気後退入りする可能性もありますが、バンク・オブ・アメリカの2023年利益は、大幅な増加が見込まれています。
与信の質は依然として極めて良好で、経費管理も徹底しており、純金利収入は好調に推移しています。同行は資本基盤も強固であり、自社株買いも継続できるはずです。
バークシャー・ハサウェイがパンデミックの初期に他の銀行株を売却した一方で、バンク・オブ・アメリカ株を買い増したのは、こうしたことも理由の1つかもしれません。バンク・オブ・アメリカは、金利上昇から恩恵を受け、困難な時期を乗り越える力を持っており、見通しは非常に良好であると思われます。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。バンク・オブ・アメリカは、モトリーフールのグループ会社アセントの広告パートナーです。元記事の筆者Bram Berkowitzは、バンク・オブ・アメリカの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はバークシャー・ハサウェイ(クラスB)の株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは以下のオプションを推奨しています。バークシャー・ハサウェイ(クラスB)の2023年1月満期の200ドルコールのロング、バークシャー・ハサウェイ(クラスB)の2023年1月満期の200ドルプットのショート、バークシャー・ハサウェイ(クラスB)の2023年1月満期の265ドルコールのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。