債券の種類とは?

債券は原則、定期的に利息を受け取ることができ、満期まで保有すれば額面金額(100)で戻ってきます。これは資金の計画が立てやすい運用手段と言えます。また、発行体や期間、通貨など様々な要素があることから、これらを組み合わせることにより分散投資も可能です。

今回は債券の種類について紹介します。

発行体による区分

【図表1】国債と社債のメリットとデメリット
 出所:筆者作成

発行体には信用力を示す基準として格付が付与されます。BBB以上の格付けは「投資適格格付け」、BB以下は「投機的格付け」とされますが、一般的に格付けの高い(低い)債券ほど利回りは低く(高く)なります。これは債務不履行のリスクに対する見返りとして国債等の金利に対して上乗せ金利(リスク・プレミアム)が要求されているためです。

【図表2】格付け毎の利回りの違い
出所:Bloomberg

格付けは民間の会社が表明する意見であり、債券について何ら保証するものではありません。格付けは満期日まで変動するもので、ムーディーズ、S&P社など海外の格付け機関やR&I、JCRなど国内の格付け機関が独自に公表しています。

【図表3】
出所:筆者作成

利息による違い

【図表4】債券の種類別利息の違いとメリット・デメリット
出所:筆者作成

原則、定期的に利息を受け取れる債券において、ゼロクーポン債は利息(クーポン)が得られない代わりに額面よりも割引されて発行され、償還日には額面金額で償還するため償還差益が狙えます。ライフプランにおいて将来まとまった資金が欲しいという場合、ゼロクーポン債は計画が立てやすくそのようなニーズに適した債券と言えます。

通貨による違い

【図表5】債券の発行通貨別メリット・デメリット
出所:筆者作成

外国債券への投資においては国によって為替や金利の動きが異なります。社債の格付け同様に国の信用力にも上乗せ金利がつくことで、一般的には新興国債券は先進国債券よりも金利が高く、また為替変動も大きくなります。なお、日本企業が低金利の円ではなく他国通貨で債券を発行することで高金利を享受できるケースもあります。

債券の中での分類

【図表6】債券の種類別の特徴
出所:筆者作成

ここまでは一般的な国債や社債の紹介をしてきましたが、企業が発行し資金調達の手段となる社債と株式の間にはいくつかの性質の異なる債券があります。ハイブリット証券、期限付劣後債、永久劣後債、優先出資証券などです。

ハイブリッド証券は利息が定められており満期や繰り上げ償還時に額面で償還される債券的性格を持つ一方、状況によっては企業側が利払いや繰り上げ償還を見送ることができるなど、資本的性格もあります。

弁済順位は社債が最も高く、その分リスクは低くなります。劣後債は弁済順位が劣る分、利率が高く設定され、優先出資証券は劣後債よりも高利率となります。一方で利払いや繰り上げ早期償還がされないリスクを優先出資証券は他の債券よりも多く抱えることになります。

発行体にとって劣後債は、その一定割合を資本としてカウント出来るメリットがあります。これにより株式を発行する場合に生じる1株当たりの価値が低下する(希薄化)デメリットを避けられます。

このような性質の証券は金融機関による発行が盛んです。国際的に厳格化される金融機関の自己資本規制に対し、ハイブリッド証券は自己資本比率を引き上げられる有効な資金調達手段となっています。

厳格に規制管理される金融機関から魅力的な高利回り債が発行されていますが、一方でリスクとして企業の損失による自己資本の低下時には債券として返済されないことや、株式に転換してしまう可能性がある点には注意が必要です。