メインシナリオは米国株の軟調さに引きずられて日本株も上値の重い展開を予想する。下値目途は10月3日から4日にかけて空けた窓埋めとなる2万6200円程度か。その水準では後述するような内需期待で押し目買いも見られるだろう。

今週は重要イベント目白押しである。予定を確認すると、11日に景気ウォッチャー調査、12日に機械受注、工作機械受注、米国ではPPI、FOMC議事要旨、翌13日にCPI、14日に日本市場のオプションSQ、中国のPPI・CPI、米国の小売売上、ミシガン大学消費者信頼感指数という具合だ。

なかでもヤマ場は、米国のPPI、FOMC議事要旨~CPIの流れだ。先週後半、連銀高官のタカ派発言が相次いだことや先週末の雇用統計を受けて米国金利は再び上昇し、米国株の反発もほぼ帳消しとなっている。今週の物価指標を受けて長期金利が再び4%台を試すことになれば米国株もそれに合わせて下値を探りにいくだろう。

このタイミングで、バンク・オブ・イングランドの緊急国債購入が14日で終了する。市場のボラティリティが高まることに警戒したい。

今週から金融を皮切りに米国企業の決算発表シーズンが始まる。JPモルガン、シティグループ、モルガン・スタンレー、USバンコープ、ウェルズファーゴが14日に決算を発表する。米国以外では13日にTSMCの決算発表があり要注目だ。

日本では小売り中心に6-8月期決算発表が続く。Jフロント(3086)、コスモス薬品(3349)、高島屋(8233)、ABCマート(2670)、ビックカメラ(3048)、吉野家(9861)、良品計画(7453)、ファーストリテイリング(9983)などが今週発表予定。小売り以外でもベイカレント(6532)、SHIFT(3697)などのグロース系の業績に注目したい。

また日本では、今週から水際対策の一段の緩和に加え、「全国旅行割」「イベント割」などがスタートする。インバウンド関連ではANA(9202)に注目だ。ANAは7日、海外発日本行きの国際線の年末年始の予約数が5倍に増えたと発表した。国内線でも10月10日の旅客数が約14万人とコロナ下で最多を更新する見込み。株価は7月を底値に上放れ、高値圏での推移が続いている。米国株を筆頭に海外の市場環境が厳しいだけに、わかりやすいリ・オープン銘柄への物色傾向が強まるだろう。