インデックス投資歴17年目で、「早期リタイアが視野に入ってきた」という個人投資家で人気ブロガーのじゅん@さん。リーマン・ショックや勤務先の日本法人閉鎖に伴うリストラなどの逆境を乗り越 え、自身に合った投資スタイルを見極め、インデックス投資を継続されています。そこで今回はピンチを乗り越える際の戦略や投資への思い、今後の投資目標などをじっくりうかがいました。


●じゅん@さんプロフィール●
40代会社員。夫婦共働き。2006年2月から投資をスタートし、"貯める、使う、投資する"のバランス良いライフスタイルを目指す。インデックス投資歴17年目。オールカントリーを軸とした国際分散投資派。ブログ「投信で手堅くlay-up!」では長期積立投資の実践記録の他、家計管理、キャッシュレス生活などをテーマに発信している。

住宅ローンの総支払額に衝撃を受け、投資の複利に目覚める

――じゅん@さんは投資歴17年とのことですが、投資を始めたきっかけを教えてください。

投資に興味を持ったのは、住宅ローンを検討したことがきっかけです。30歳で結婚して、住宅を購入することになったのですが、当時の金利では35年の住宅ローンを組むと総支払額が借入額の2倍にもなってしまうと知り、ローンの複利に愕然としました。「それなら逆に、複利で運用したらお金を増やせるんじゃないか?」と考えたのがきっかけです。

――住宅ローンの総支払額に驚き、そこから投資に関心を持ったのですね。投資手法や投資対象は複数の選択肢があると思いますが、どのように投資を始めましたか?

それまで経済に興味がなく、金融の知識もなかったので、書籍やブログを読んで投資の勉強を始めました。2005年当時、デイトレードが全盛期だったのですが、仕事が忙しかったこともあり、自分には難しいと感じました。そんなとき、たまたま書店で手に取ったのが、チャールズ・エリスの『敗者のゲーム』(日本経済新聞出)という本です。この本に書かれている負けないことの大切さがすっと頭に入ってきて、「これなら自分にも出来そうだ」と、インデックスファンドの積立投資でスタートしました。

最初は月5万円くらいから始め、家計を整理しながら少しずつ金額を増やしていきました。現在は、ボーナスを含めて年間の積立額を決めたうえで、毎月積み立てています。その後は月々15万円程度を積み立てるようになって、ちょうど10年くらい経っています。

ダブルピンチを乗り越え人生の方針を転換 

――投資を始めて2年目に、リーマン・ショックとリストラのダブルピンチを経験されたそうですね。

2008年にこの2つの出来事を経験したのは、私の人生と投資において大きな転機になりました。投資を始めた頃は、子どもがいない共働き夫婦のためリスクを取ってもいいだろうと考えていましたが、リーマン・ショックで「本当に資産が50%も減ることがあるのだ」と実感したのです。

私が当時勤務していた会社は、米国に本拠地を置く企業でした。リーマン・ショックが起きると早々に日本を含む海外拠点の閉鎖とリストラを発表したため、私は半年以上、職探しに奔走しました。この経験から世帯でどの程度リスクを取れるのか、安全資産について真剣に考えるようになり、まずは住宅ローンを完済し、ポートフォリオも大きく変えようと思いました。

――住宅ローンの完済を優先したのはなぜでしょうか?

それまでは住宅ローン金利が低いことに加えて、住宅ローン控除もあるので、繰り上げ返済を急ぐより投資した方が得だと考えていました。ですが、リーマン・ショックとリストラを経験し、借金の返済に勝る投資はないと考えるように。それに住宅ローン控除は原則居住している事が条件であるため、通勤可能エリアが限られ、転職先が限定されたため転職活動中に足かせとなりました。

転職して約1年経ち、生活が落ち着いた頃、保有していたリスク資産(投資信託)を部分的に解約し、退職金と合わせてローンを完済しました。住宅ローンを完済したことで、精神的な負担がずいぶんなくなりましたね。借金がなければ住む場所や仕事の制限が減り、「何とかなるさ」と思える。その気持ち的な安心感は大きかったです。

逆境でも「完全自動化」で積立投資を継続

――リーマン・ショックとリストラという2つの逆境のなかでも投資は継続できた秘訣を教えてください。

精神的には投資のことを考える余裕はなかったのですが、積立投資という「自動化」の仕組みをつくることができていたので続けられました。もし毎月手動で投資していたら、「今月はちょっと止めておこう」とか「いったん売ろう」と考えていたかもしれません。

リーマン・ショックのときは底が見えないくらいどんどん株価が下がっていき、追加投資自体ためらわれるような状況でしたが、私自身は投資を“完全自動化”していたので、そこに判断を入れる余地がありませんでした。

仕事のやり方も同じなのですが、何か事が起こってからではなく、先に判断しておけば物事は自動的に進めやすくなります。投資を始める際にも、最初から自動化して積み立てる「完全自動化」を意識していましたし、そこが私の投資スタイルのポイントだと思います。

――ほかにも投資に関してルール化したことはありますか?

投資を始めたときに、必ず生活防衛資金を2年分持っておこうと決めました。今は資産が増えたこともあり、投資資金と生活防衛資金の区別はしていません。

積み立て商品は全世界株式ファンドに一本化 

―現在のポートフォリオを教えてください。

投資を始めて1年くらいの頃は、調べていくうちに面白くなって日本の個別株を買ったり、BRICsなどの新興国株が注目されていると知ればブラジルなどの新興国株ファンドを手厚く持ったりと、手探りでいろいろな投資対象に投資していました。

【図表1】リスク資産アセットアロケーション
出所:じゅん@さん作成(2022年9月末時点)

しかし、現在は信託報酬率がかなり低くなり、1本で世界の株式に分散投資できるため「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」に1本化しています。現金とリスク資産は半分ずつ持つようにしています。

【図表2】資金全体の比率
出所:じゅん@さん作成(2022年9月末時点)
現在は、資産状況については四半期ごとにチェックする程度です。日々の管理をほったらかしておけるのが、積立投資の素晴らしいところだと思います。

※本インタビューは2022年9月25日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。