<< <<【前編】「投資を完全自動化」すればどんな相場環境でも続けられる:投資ブロガーじゅん@さん

『敗者のゲーム』から学んだ負けない意識

――円安、インフレなどの局面が続いていますが、難局を乗り切るうえで必要なことは何だと思われますか?

つい10年前まで、1ドル80円という時代でした。そう考えると、どっちに転んでも負けないようにすることが大切だと思います。これは『敗者のゲーム』から学んだ考え方ですが、勝つことよりも負けないことを意識しています。

私の場合は、株式と現金を広く分散投資して、円も外貨もどちらも持つことを常に心がけています。どちらか一方に偏ってしまうと、失敗したときに投資市場からの退場を余儀なくされてしまう。だからこそ、「負けないようにすること」が大事だと思います。

――投資に関する情報収集はどのように行っていますか?

投資を始めたばかりの頃は、インデックス投信の情報が少なかったので、実際に投資している方のブログを読んだり、自分自身も積極的に発信していました。現在は、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」に1本化したこともあり、Twitterなどでインデックス投信の新商品や手数料の変更などをチェックする程度です。積立投資は相場環境に一喜一憂する必要がないので、少し距離を取るくらいの情報収集でちょうどいいかなと感じています。

早期リタイアをしたら資産の取り崩しも自動化

――今後の投資方針や資産の目標を教えてください。

リスク資産と現金を半分ずつ持つ方針は、このまま維持していくつもりです。資産額は、夫婦2人で暮らすには不自由しないレベルに達しました。収入がある限りは積立投資を続けようと思っていますが、あまり増やすことに一生懸命にならず、健康なうちは楽しむことにお金を使いたいですね。

実は、50歳をひとつの節目に早期リタイアを考えています。現時点ではリタイア後のことは決めていませんが、いろいろな場所へ旅行したいですね。仕事をしていると、なかなかまとまった休暇はとれませんから。

資産の取り崩しについても自動化する予定です。毎月なのか年1回なのか、そのタイミングはまだ分かりませんが、ルール化することは決めています。

――結婚当初から家計も一本化されているそうですが、家計管理のコツはありますか?

結婚当初から家計の財布を一つにして、妻の小遣いを除いて私が一元管理しています。私は学生時代から家計簿をつけてお金の管理をしていたのですが、妻はお金に無頓着なタイプ。家計を一本化して私が管理することは、すんなりと決まりました。

基本的には、収入が増えてもおこづかいは増やさないようにし、昇給した場合にも、生活費は増やさず貯蓄・資産運用に回すようにしています。家計管理も家計簿アプリを使い、使途不明金を作らないことを心がけています。

投資がもたらした3つのメリット

――投資はじゅん@さんにどのような変化をもたらしましたか?

自分が使ったお金が世の中にどのように回っているかを意識するようになりました。例えば、なるべく地元のお店を利用して地域経済を回したり、好きなアーティストのCDを買って、その活動を応援したり。

投資資金を作るために家計簿をしっかり見るようになったことも変化のひとつです。投資を始めた当初は、生活資金から残ったお金を投資していましたが、今は「年間これだけ投資する」と決め、先取りで積立投資をしています。

それから、投資を始めたことで、お金を得る手段は仕事だけではないと知ることができました。その意味では、投資は世界を広げるきっかけになったと言えます。またいざとなったら、いつでも仕事を辞めてもいいという選択肢があることは大きいですね。

良いときと悪いとき、両方のシナリオを用意する

――じゅん@さんの投資のバイブル3選を教えてください。

一番のバイブルはやはり『敗者のゲーム』ですね。勝つことよりも、負けないゲームをすることが大切だという考えは、スポーツをやっている人などにも素直に理解できると思います。『お金は寝かせて増やしなさい』(フォレスト出版)もインデックス投資入門として、非常にわかりやすい本です。あとは、『ウォール街のランダム・ウォーカー』(日本経済新聞出版社)でしょうか。この本は少し難しいですが、過去の株価から将来を予測することは難しいと勉強になります。

それから、『DIE WITH ZERO人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ダイヤモンド社)は人生を考えるうえで参考になります。人生で大切なのは思い出を作ること、お金は死んだ後に持っていけるわけではないというのは、まさにその通りだと思います。

――これから投資をはじめる20代、30代の方へメッセージをお願いします。

投資のスタイルは何でもいいと思います。いろいろやってみて、自分に合う方法を見つけられればいい。そのためにも、まずは一歩踏み出してみほしいですね。

そして、常に良いときと悪いとき、両方のシナリオを考えることが大切です。これは私がリーマン・ショックを経験したから言えることですが、相場は良いときばかりとは限りません。だからこそ、「負けないこと」がより大事だと考えています。どちらに転んでもいいようにしながら、安全側にリスクを取っていくことも意識していただければと思います。

実は、お金を増やすのは「そこそこでいいんじゃない?」とも思っています。人生は限られていますから、楽しまないと!妻ともよくそんな話をしています。

――本日はどうもありがとうございました。


※本インタビューは2022年9月25日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。