東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株安を受けて4日続落となりました。214円安の28,580円でスタートした日経平均は寄り付きを高値に下げ幅を広げ取引開始から1時間弱で399円安の28,395円まで下落した後10時20分過ぎに311円安の28,482円まで持ち直しましたが、節目の28,500円を前に上値は重く337円安の28,456円で前場を終えました。303円安の28,491円でスタートした後場の日経平均は12時50分前に291円安の28,503円まで戻しましたが、28,500円をわずかに上回ったところで上値が押さえられると28,500円を小幅に下回って推移し結局341円安の28,452円で取引を終えています。こうしたなか新興株も軟調で東証マザーズ指数が小幅に下落となっています。
2.個別銘柄等
日野自動車(7205)が6.4%安となり年初来安値を更新しました。中大型トラックに続き小型トラックでもエンジンの性能試験で不正があったと発表し、国内向けトラックのほぼ全量が出荷できなくなることから売りが膨らみました。一方でいすゞ(7202)は日野自動車の出荷停止拡大で代替需要が期待できるとの思惑から一時2.7%高となる場面がありました。
日本航空(9201)も4.9%高となり年初来高値を更新しました。日本への入国・帰国時の新型コロナウイルス検査について政府が条件付きで不要とする検討に入ったと報じられたことや、1日の入国者の上限を現在の2万人から5万人に緩和する方向で調整していると伝わったことで買われました。こうしたなかANAホールディングス(9202)も3.3%高となったほか、オープンドア(3926)やエイチ・アイ・エス(9603)、エアトリ(6191)といった旅行会社株も高く、オープンドアが9.7%高、エイチ・アイ・エスが一時4.5%高、エアトリも7.5%高となりました。東証グロース市場では訪日外国人客(インバウンド)向けの団体パッケージツアーなどを手掛けるHANATOUR JAPAN(6561)も17.0%高となっています。また、インバウンド需要を期待した買いで百貨店株も高く、三越伊勢丹ホールディングス(3099)が4.5%高、高島屋(8233)が3.4%高、J.フロント リテイリング(3086)も4.6%高となり、高島屋は年初来高値を更新しました。
さらに目標株価の引き上げを受けてINPEX(1605)やサカタのタネ(1377)が買われ、INPEXが一時4.6%高、サカタのタネも一時2.5%高となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は341円安となりました。26日のジャクソンホール会議での講演でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が金融引き締めに積極的なタカ派姿勢を示すとの見方が強まり昨日の米国市場が大幅続落となったことで売りが優勢となりました。節目の28,500円を割り込んだことから下値への警戒感もやや意識されそうですが、本日の下げで東証プライム市場の騰落レシオも120%を割り込み足元の過熱感も解消に向かっていることから明日以降の切り返しに期待したいところです。
なお、22時45分には8月の米製造業PMI速報値が発表されるほか、23時には7月の米新築住宅販売件数が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)