東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株安を受けて3日続落となりました。276円安の28,654円で寄り付いた日経平均は直後に343円安の28,586円まで下落しましたが、朝方の売り一巡後に下げ幅を縮めると前引け間際に121円安の28,808円まで戻し124円安の28,805円で前場を終えました。115円安の28,815円でスタートした後場の日経平均は直後に102円安の28,828円まで持ち直した後やや下げ幅を広げると135円安の28,794円で取引を終えました。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
エイチ・アイ・エス(9603)が一時4.7%高となりました。傘下のテーマパークのハウステンボスを香港拠点のアジア系ファンドに売却する方向で最終調整に入り、九州の地元株主も保有株を売却する方向で取引額が1000億円規模になると伝わったことで保有株売却による財務体質の改善を期待した買いが入りました。東京計器(7721)も3.6%高となりました。政府が開発中の長射程の巡航ミサイルについて保有数を1000発規模にする検討に入ったと伝わったことで防衛関連銘柄の一角に思惑買いが入りました。東証スタンダード市場でも細谷火工(4274)が3.0%高となっています。
不動産運用のいちご(2337)も6.1%高となりました。自己株式を除く発行済株式総数の2.59%にあたる1200万株と30億円を上限とする自社株買いを発表したことを好感した買いが入りました。本決算を発表したセキュリティー機器を手掛けるあいホールディングス(3076)も一時7.7%高となり年初来高値を更新しました。監視カメラのマンション向けのリースが引き続き堅調に推移することなどから2023年6月期の営業利益が前期比4.6%増の103億円となり前期に続いて過去最高益を更新する見通しとなったことで大幅高となりました。また、目標株価の引き上げを受けて買われたのがセイコーホールディングス(8050)やレオパレス21(8848)で、セイコーホールディングスが3.9%高となり、レオパレス21も一時4.5%高となりました。
一方で富士石油(5017)が10.5%安となりました。関東財務局に提出した変更報告書で旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスの保有比率が共同保有分を合わせて10.11%から4.91%に低下したことが明らかになったことで売りが膨らみました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は135円安となりました。米長期金利の上昇を受けてハイテク株を中心に売りが出て先週末の米国市場が反落となったことで一時は340円以上下落する場面もありました。しかし、中国人民銀行(中央銀行)が実質的な政策金利で優良企業向け融資の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート)の引き下げを発表したこともあり下げ渋りました。先週末の東証プライム市場の騰落レシオが依然として120%を超えていたことからすると必要な下げだったともいえそうで、ジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を週末に控え様子見になりやすいなかで調整一巡後に節目の29,000円を試すような展開がみられるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)