【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 33,336.67 △27.16 (8/11)
NASDAQ: 12,779.91 ▼74.89 (8/11)
1.概況
10日の米国市場は7月の米CPIが市場予想を下回りインフレ懸念が和らいだことで米連邦準備理事会(FRB)による利上げ加速の観測が後退したことで大幅反発となりました。356ドル高でスタートしたダウ平均は昼前に590ドル高まで上昇した後伸び悩むと取引終盤に400ドル高程度まで一旦弱含みましたが、引けにかけて再び上げ幅を広げると結局535ドル高の33,309ドルで取引を終え反発となっています。また、S&P500株価指数も87ポイント高の4,210ポイントと5日ぶりに反発したほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も360ポイント高の12,854ポイントとなり4日ぶりに反発となりました。
昨日の米国市場は米PPIの下落を受けてFRBが利上げを急ぐとの観測が後退したことが相場の支えとなる一方で、長期金利の上昇を受けてハイテク株に売りが出たことが重石となり小幅に高安まちまちとなりました。142ドル高でスタートしたダウ平均は朝方に342ドル高まで上昇しましたが、伸び悩むと徐々に上げ幅を縮め取引終盤にマイナスに転じました。しかし、19ドル安で下げ渋ると前日終値を挟んで小幅に揉み合う展開となり結局27ドル高の33,336ドルで終え続伸となっています。一方でS&P500株価指数が2ポイント安の4,207ポイントと反落となり、ナスダック総合株価指数も74ポイント安の12,779ポイントと反落となりました。
2.経済指標等
10日に発表された7月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.5%上昇と前月から伸びが鈍化し市場予想も下回りました。変動の激しいエネルギーと食品を除いたコア指数も前年同月比5.9%上昇となり市場予想を下回っています。6月の米卸売在庫も前月比1.8%増に止まり市場予想を下回りました。米卸売売上高は前月比1.8%増となっています。7月の米財政収支の赤字額は前年同月比30.1%減の2110億ドルとなりました。
昨日に発表された7月の米卸売物価指数(PPI)は前月比0.5%低下し上昇を見込んでいた市場予想を下回りました。先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比1万4000件増の26万2000件となりましたが市場予想ほど悪化しませんでした。
3.業種別動向
10日の業種別S&P500株価指数は11業種全てが上げました。そのなかでも素材と一般消費財・サービス、情報技術、コミュニケーション・サービスが3%近く上昇し、金融と資本財・サービスも2%以上上げています。
昨日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうちヘルスケアや一般消費財・サービス、不動産などの6業種が下げました。一方でエネルギーや金融、資本財・サービスなどの5業種が上げ、エネルギーが3%余り上昇したほか、金融も1%高となっています。
4.個別銘柄動向
10日の米国市場でダウ平均構成銘柄はメルク(MRK)を除く29銘柄が上げました。そのなかでもウォルト・ディズニー(DIS)が4%近く上昇したほか、セールスフォース(CRM)とゴールドマン・サックス(GS)も3%以上上げています。ダウ平均構成銘柄以外では、主力ハイテク株の上昇が目立ち動画配信のネットフリックス(NFLX)が6%を超える上昇となり、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(META)も6%近く上げました。電気自動車のテスラ(TSLA)も4%近く上昇し、アマゾン・ドット・コム(AMZN)も3%以上上げています。半導体株も高くエヌビディア(NVDA)が6%近く上昇し、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)とマイクロン・テクノロジー(MU)、クアルコム(QCOM)、テキサス・インスツルメンツ(TXN)も3%以上上げています。
昨日の米国市場でダウ平均構成銘柄では決算が市場予想を上回ったウォルト・ディズニー(DIS)が4%を超える上昇となったほか、シェブロン(CVX)とトラベラーズ(TRV)、ダウ(DOW)も2%以上上げました。また、キャタピラー(CAT)とJPモルガン・チェース(JPM)、ハネウェル・インターナショナル(HON)、ゴールドマン・サックス(GS)も1%を上回る上昇となっています。一方でジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)が2%余り下げ、アムジェン(AMGN)も1%を超える下落となりました。ダウ平均構成銘柄以外では、製薬のファイザー(PFE)が訴訟リスクを懸念した売りが出て3%を超える下落となっています。
5.為替・金利等
10日の長期金利は変わらずの2.78%となりました。昨日の長期金利は米PPIの下落を受けてFRBの利上げ観測が後退したことで景気の減速懸念が和らぎ相対的に安全資産とされる米国債に売りが出て0.11%高い2.89%となりました。ドル円は133円近辺で推移しています。米PPIの下落を受けてFRBの利上げ観測が後退したことで一時131円台後半まで円高が進む場面もありました。
VIEW POINT: 今日の視点
昨日の米国市場は小幅に高安まちまちとなりましたが、10日の米国市場が大幅高となったことから本日の日本市場は上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の28,000円を超えてどこまで上値を伸ばすことができるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)