今週最大の注目は10日に発表される米国の7月のCPI(消費者物価指数)である。今回のCPIのヘッドラインは、前年同月比で9.1%と40年ぶりの高い伸びとなった6月からは、ほぼ確実に減速することが見込まれている。米国のガソリン価格は6月半ばに最高値をつけた後は原油価格の下落に平仄を合わせて低下している。ヘッドラインは前月比ではマイナスになるだろう。問題は他の項目がどうか、ということと、前年同月比でどれだけ伸びが抑制されるかだ。今回のCPIの減速は市場で織り込み済みなので、鈍化ペースが不十分だと失望を招きかねない。特に、先週金曜日に発表された雇用統計が強い内容であったため、FEDの利上げペースの減速期待が修正され、金利上昇・株安の流れに転じるリスクがあるので要注意である。

ただし、従前から述べているように物事には常に2つの側面がある。強い雇用統計はFEDの大幅利上げ継続の可能性に結びつくが、同時に市場の景気後退懸念を打ち消す方向に作用する。実際、先週金曜日、雇用統計を受けて始まった米国株式市場で、ダウ平均は寄り付きこそ200ドル強下げたがすぐ下げ渋り、上昇に転じた。

インフレ関連指標はCPIだけではない。CPIの翌日には7月のPPI(生産者物価指数)が発表される。4-6月期非農業部門労働生産性・単位人件費速報(9日)も広義のインフレ指標と言えるし、パウエル議長がそのインフレ期待に言及したことですっかり有名になったミシガン大消費者信頼感指数速報値も12日に発表される。今週はインフレをデータで再確認する週になる。

国内の決算発表もトヨタ(7203)、レーザーテック(6920)といった注目企業の発表を終えて、いよいよ終盤の大詰め局面である。8日には東京エレクトロン(8035)、NTT(9432)、ソフトバンクG(9984)、9日にはアサヒ(2502)、東レ(3402)、オリンパス(7733)、10日には資生堂(4911)、ブリヂストン(5108)、ホンダ(7267)、第一生命(8750)、12日には電通(4324)、ENEOS(5020)、リクルート(6098)などの決算発表がある。

これで決算発表も一巡するが、締めてみれば悪くない業績だという認識が広がるだろう。それが先週末に日経平均が終値ベースで約2ヶ月ぶりに2万8000円台を回復した背景であろう。日経平均の予想EPSは2,200円を超えてきた。株価が2万8000円台を回復しても予想PERはまだ12倍台で割安感がある。

今週は、11日が山の日で祝日と4営業日の立ち合い。米国のCPI発表を控えて様子見姿勢が優勢となり、方向感は出にくいだろう。また、そこに日本のお盆休みも重なって閑散な相場となるだろう。12日はオプションSQ算出日であり、薄商いの中、SQに絡んだ売買で相場が荒れやすくなるリスクには留意したい。ただ、冷静にファンダメンタルズを見れば、上述の通り日本企業の業績は堅調で、米国ではインフレ鈍化、雇用もしっかりなら景気も底堅いとポジティブな面に目を向けることもできる。今週の日本株相場は「閑散に売りなし」の格言通り、薄商いの中をこじっかりで推移すると思われる。