東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株高を受けて続伸となりました。日経平均は193円高の27,909円で寄り付くとまもなくして299円高の28,015円まで上昇しましたが、朝方の買い一巡後に伸び悩むと10時20分頃にマイナスに転じ10時30分過ぎに63円安の27,651円まで下落しました。しかし、下げ渋ると持ち直し88円高の27,804円で前場を終えました。65円高の27,781円でスタートした後場の日経平均は直後に32円高の27,748円を付けた後上げ幅を広げ大引け間際に105円高の27,821円まで上昇すると結局99円高の27,815円で取引を終えています。こうしたなか新興株も堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
第1四半期決算を発表した銘柄に大きく上げるものが幾つかみられました。三菱自動車工業(7211)が円安効果に加え、多目的スポーツ車(SUV)など新型車の値上げで採算が改善することから通期の営業利益の見通しを900億円から1100億円に上方修正したことで一時15.0%高となり年初来高値を更新したほか、ファナック(6954)も人手不足による省人化や電気自動車に対する設備投資を追い風にロボットの販売が伸びていることで通期の営業利益の見通しを1973億円から1984億円に引き上げたことで3.7%高となりました。また、信越化学工業(4063)も塩化ビニール樹脂や半導体シリコンウエハーが好調で市場予想を上回る2023年3月期の営業利益の見通しや自社株買いを発表したことで4.2%高となり、エムスリー(2413)も第1四半期の営業利益は前年同期比で減益となったものの前年同期の特殊要因を除くと大幅な増益だったことから13.9%高となっています。
一方で小糸製作所(7276)が8.5%安となりました。中国のロックダウンの影響で世界の自動車生産が想定よりも下振れしたことや、原材料価格や物流費の高騰も利益を圧迫することなどから通期の営業利益の見通しを670億円から590億円に下方修正したことで売りが膨らみました。サイバーエージェント(4751)も5.7%安となりました。スマホ向けゲームが前年同期にヒットした反動が出て第3四半期の営業利益が前年同期比で27.9%減となったことが嫌気されました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は99円高となりました。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で将来的に利上げペースを緩める可能性に言及したことで昨日の米国市場が大幅反発となったことから買いが優勢となりました。しかし、節目の28,000円を小幅に上回ったところで上値が押さえられると伸び悩みマイナスとなる場面もありました。そのため上値の重さが意識されそうですが、こうしたなかで明日以降に買いが優勢となった場合には28,000円を超えて水準を切り上げることができるかが、反対に売りが優勢となった場合には200日移動平均線(27,561円)を引き続き維持できるかがポイントとなりそうです。
なお、3月決算企業の第1四半期決算発表が続いていますが本日も引け後には日立建機(6305)やパナソニック ホールディングス(6752)、アドバンテスト(6857)、村田製作所(6981)、日産(7201)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には4-6月期の米GDP速報値と米新規失業保険申請件数が発表されるほか、28日の米国ではアマゾン・ドット・コム(AMZN)やインテル(INTC)、アップル(AAPL)など主力ハイテク株の決算発表も予定されています。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)