モトリーフール米国本社、 2022年7月24日 投稿記事より

主なポイント

・トゥイリオは当面の間、30%以上の内部成長率を維持する見通し
・このままいけば、2023年にも調整後利益で黒字化が予想される
・企業規模に比して資金は潤沢

クラウドコミュニケーションのパイオニアが圧倒的勝者となる可能性

トゥイリオの株価は、過去1年間で大幅に下落しています。弱気相場は多くの銘柄に大きな打撃を与えていますが、トゥイリオへの打撃は特に深刻で、過去最高値から81%安の水準にあります。

しかし、この1年がすべてを物語っているわけではなく、2016年夏の新規株式公開(IPO)から見ると、同社の株価は依然として市場をアウトパフォームしています。急落しているとはいえ、トゥイリオ株がIPO以降210%上昇しているのに対し、同期間にナスダック100指数のトータルリターンは192%、S&P500指数は110%となっています。トゥイリオが成長を維持し、今後数年以内に多大な利益を生み出し始めることができれば、株価はさらなる高みへと昇っていくかもしれません。

トゥイリオの事業

10年以上前から発展を続けてきたクラウドコンピューティングは、新型コロナウイルスの感染拡大の初期に真価が問われ、無数の個人や企業にとって救いとなることが証明されました。クラウドのおかげで業務の柔軟性が飛躍的に向上し、コストは大幅に削減されています。中でも特に重要なのが、クラウドベースのコミュニケーションでしょう。ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)は大きな恩恵を受けた企業の1社で、同社はサブスクリプションベースの無名のソフトウェアプロバイダーから、2020年に突如、誰もが知る超有名企業へと進化しました。

トゥイリオも、パンデミックの初期に成功したクラウドコミュニケーション・プロバイダーの1社です。しかし、ズームが主にすぐに使える製品を提供しているのに対し、トゥイリオのビジネスモデルは、開発者がアプリやウェブサイトにコミュニケーション機能を搭載できるようにする、ソフトウェアの構成要素(APIと呼ばれます)を中核としています。このような機能は、テキスト、チャット、メール、音声、動画など、多岐にわたります。

近年では、トゥイリオもすぐに使える製品も開発しています。例えば、クラウドベースのコンタクトセンター・ソリューションであるFlexは、複数の顧客コミュニケーション機能を1つのプラットフォームに統合したものです。最も新しい取り組みは顧客データ分析で、2021年に買収したセグメントを中心に構築中です。

現状を根本から覆し、市場を大幅にアウトパフォームする要素が揃っている

ズームと同様に、トゥイリオの成長率も、パンデミックによる初期影響が和らぐにつれて鈍化しています。しかし、ズームの成長率が平凡なレベルに減速した一方で(2-4月期は前年同期比12%の増収にとどまりました)、トゥイリオは依然として急成長を続けています。

2022年第1四半期の内部成長率(最近の買収による成長を差し引いた売上高の伸び率)は前年同期比35%増でした。2020年通期の内部成長率53%、2021年の42%からは減速していますが、ジェフ・ローソン共同創業者兼CEOは、トゥイリオが当面の間、少なくとも30%の内部成長率を維持できると確信しています。

これまでのところ、トゥイリオは利益を生み出していません。これが、市場がトゥイリオ株を嫌気する最大の理由です。インフレ率と金利が上昇する中、高成長でも赤字の企業は投資家から見放されています。トゥイリオの赤字の一因は、ローソン氏ら会社側が、急成長するための十分な機会を捉えようと、マーケティングや開発に多額のコストをかけているためであり、意図的とも言えます。同社は2023年にも調整後営業利益が黒字化する見通しです。

トゥイリオが転機を迎えて黒字化すれば、株価は急上昇する可能性があります。現在、2022年予想株価売上高倍率(PSR)はわずか4.4倍です。株主が利益を待つ間も、トゥイリオが走り続ける態勢は万全です。2022年3月末時点の現金および短期投資は合計52億ドルであり、負債はわずか9億8,600万ドルです。企業価値120億ドルの企業にとっては十分な資金と言えます。つまり、トゥイリオはマーケティングなどに多額の資金を投じることができるだけでなく、その気になれば、コミュニケーションソフトウェア企業のボルトオン(補完的)買収をさらに行うだけの流動性も確保しているのです。

クラウドは次の10年も、ビジネス界で急速に発展していくでしょう。そしてトゥイリオは、さまざまな組織が21世紀型コミュニケーションにアップグレードするのをサポートすることにより、最大の受益者になるとみられます。売上高の着実な伸びに加え、黒字を達成すれば第2の追い風となって株価を押し上げると思われますが、足元の株価にはこうした見通しが十分に織り込まれていないようです。株価は大きく変動することが予想されます。しかし、2022年上半期に打ちのめされた現在のトゥイリオは、長期的に絶好の買い場に見えます。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Nicholas Rossolilloと同氏の顧客は、トゥイリオおよびズーム・ビデオ・コミュニケーションズの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はトゥイリオおよびズーム・ビデオ・コミュニケーションズの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。