モトリーフール米国本社、2022年7月18日 投稿記事より

主なポイント

・アルファベットの株式分割により、7月18日の取引開始時の株価は2,235.55ドルから111.77ドルに低下
・株式分割により企業の実質価値が増加することはないが、利益の計算方法が変わる
・アルファベットは驚くほど強固な企業であり、現在は極めて割安

アルファベットの1株当たりの株価が大幅低下

2022年初め、グーグルの親会社であるアルファベットは、1対20の株式分割を行う計画を発表しました。その株式分割が7月15日の取引終了後に正式に実施され、7月18日は分割後の株価での取引初日になりました。

企業が長期にわたって大きな価値を生み出すと、その企業の株価は通常、高いリターンを生み出します。アルファベットの場合、株価は2,235.55ドルまで上昇しており、わずかな投資資金しかない投資家には、やや高額な水準となっていました。

株式分割は何を意味し、何を意味しないのか

株式分割が行われると、その企業の流通株式数が調整され、結果として株価も変わります。アルファベットの場合、1株を20株に分割することにより、既存株主はそれまで保有していた株式1株につき20株を保有することになり、1株当たりの株価は2,235.55ドルから111.77ドルに低下しますが、各株主が保有する持分の価値は変わりません。

小口投資家にとっては、アルファベット株1株を買うのに数千ドルもの大金を支払う必要がなくなるため、これは魅力的な提案です。

株式分割は完全に表面的なものであり、その企業の本質的価値に影響を与えるものではありませんが、アルファベットの1株当たり利益(EPS)の計算方法を少し変更しなければなりません。発行済株式数が20倍になったため、過去のEPSについて、すべて20で割って調整する必要があります。

例えば、アルファベットは過去4四半期に745億ドルの純利益を上げ、分割前のEPSは110.56ドルと計算されていました。ところが現在は、この数字を20で割るため、EPSは5.53ドルとなります。これは、あくまで過去の業績に関することで、今後の報告では会社側が調整してくれます。

株式分割ではなく、企業を買う

2022年に入り、アルファベットだけでなく、他の大手ハイテク企業数社による株式分割が話題となっています。しかし、企業のファンダメンタルズこそが長期的に価値を生み出し、株価を押し上げることができるということを忘れてはいけません。

アルファベットは、その代表的ブランドであるグーグルのおかげで、世界で最も強固なハイテク企業の1社です。グーグルはインターネット検索市場で91%のシェアを誇り、これほどの優位性を崩すのは極めて困難です。これまでに多くの競合企業がシェア奪取に挑んできましたが、例えばマイクロソフトの検索エンジンであるBingのグローバル市場シェアはわずか3%にすぎません。

グーグル検索は、アルファベットの過去4四半期の売上高2,703億ドルのうち58%を占め、強力な収益源でもあります。とはいえ、アルファベットは驚くほど多様な企業に成長しており、他の事業部門も業績に大きく貢献しています。Pixelスマートフォン、Pixel Budsワイヤレスイヤフォン、ホームデバイスのNestシリーズといったさまざまな製品を手掛けるハードウェア部門も成長しています。

アルファベットはまた、世界をリードする動画プラットフォームYouTubeも所有しており、過去1年間に297億ドルの広告収入を上げ、月間アクティブユーザーは約20億人に上ります。2006年に、当時のグーグルがYouTubeをわずか16億5,000万ドルで買収したことを考えると、十分過ぎるほど元を取ったと言えます。YouTubeショートは、2年前にサービスを開始したばかりにもかかわらず、ユーザー数はバイトダンスのTikTokと既に肩を並べており、TikTokの有力なライバルとなりつつあります。そのため、同部門の業績がピークを迎えるのはまだ先のことになりそうです。

株価は大幅な割安

2022年の株式市場は荒れ模様となっていますが、中でもハイテクセクターは大きく落ち込んでいます。ハイテク株の多いナスダック100指数は年初来で26.5%下落しており、明確に弱気相場入りした格好となっています。アルファベットの株価も史上最高値から21%近く下落していますが、今は絶好の買い場かもしれません。

投資家は、個人消費を減退させ、景気を減速させる可能性がある高インフレと金利上昇を懸念しています。アルファベットの事業の大部分は広告収入に依存しているため、こうした状況が長期化したり、深刻化したりすれば、同社にとってピンチとなる恐れがあります。しかし、こうした圧力も既に緩和の初期兆候を示しているため、将来的には明るいニュースが聞かれることでしょう。

過去4四半期のEPSが5.53ドル、足元の株価が111.77ドルであることから、株価収益率(PER)は20.2倍です。これはナスダック100指数の24.7倍と比べて18%割安です。アルファベットの事業の多様性を勘案すると、これは買いのチャンスです。

同社には成功実績があり、依然としてイノベーションのリーダーです。現時点でも保有する価値のある銘柄であり、景気が回復すればなおさらです。そして株式分割のおかげで、小口投資家にも参加するチャンスが訪れています。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アルファベットの幹部であるSuzanne Freyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Anthony Di Pizioは、記載されているどの銘柄にもポジションを保有していません。モトリーフール米国本社はアルファベット(クラスA)、アルファベット(クラスC)、マイクロソフトの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールはナスダックを推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。