7月の中国の経済統計が発表されました。引き続き全体的に、減速感が感じられる結果となりました。まず、貿易統計ですが、輸出額は僅か前年同月比1.0%の増加に留まりました。これは6月の11.3%増や市場予想の8%増を大きく下回ったばかりか、旧正月を除くと、2009年11月以来の低い水準です。特に欧州向け輸出が16%減と足を引っ張りました。また、輸入額も4.7%増で6月の6.3%増、市場予想の7.0%増を下回っています。輸出低迷の影響で貿易収支は251億ドルの黒字で、6月の317億ドル、市場予想の352億ドルを大きく下回りました。
その他の統計をざっと見ると、小売売上高は13.1%増でしたが、6月の13.7%増より減速。1-7月の中国都市部固定資産投資は前年同期比20.4%増となり、1-6月の20.4%と変わらなかったものの予想の20.5%増を若干ながら下回る結果に。消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.8%増で、予想の1.7%増を上回ったものの6月の2.2%増からは減速。鉱工業生産は9.2%増でしたが、6月の9.5%増、市場予想の9.8%増を共に下回っています。また中国人民銀行によると、国内金融機関の7月人民元建て融資残高増加額は5401億元にとどまり、市場予想の6650億元や6月の9198億元を下回り、2011年9月以来の低水準となりました。
しかし、このような中国経済の減速を示すニュースは、春以降続いてきた流れの中にある予想内のことであり、改めて株価への影響はありませんでした。むしろ想定より少し悪かったことで、景気テコ入れ策への期待が高まり、中国本土株、香港株共に株価は上昇(反発)してきています。ちなみに、前回指摘した温家宝首相のコメントに続き、8月5日、中国人民銀行は金融政策の事前的調整、微調整を下半期に強化するとコメントしていることも支援材料となった模様です。引き続き政策待ちの状況が続きます。