東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日続伸となりました。92円高の26,736円で寄り付いた日経平均は取引開始から5分余りで214円高の26,857円まで上昇しましたが、伸び悩むと上げ幅を縮め9時30分過ぎにマイナスに転じると10時過ぎに72円安の26,571円まで下落しました。しかし、下げ渋ると持ち直し154円高の26,797円で前場を終えました。139円高の26,783円でスタートした後場の日経平均は12時40分過ぎに186円高の26,829円まで上昇した後14時40分に120円高の26,764円まで上げ幅を縮めると結局145円高の26,788円で取引を終えています。一方でTOPIXが小幅に下げたほか、新興株も軟調で東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

第3四半期決算を発表したファーストリテイリング(9983)が8.7%高となり年初来高値を更新し、日経平均を1銘柄で210円以上押し上げました。新型コロナウイルス禍からの経済再開で先行する欧米が好調なうえ、円安の効果もあり通期の営業利益の見通しを2700億円から2900億円に上方修正したことで買いを集めました。本決算を発表した名刺管理システムのSansan(4443)も17.4%高となりました。主力のオンライン名刺管理サービスや請求書電子化サービスが堅調に推移することなどから2023年5月期の調整後営業利益が最大で前期比76.3%増の12億円になるとの見通しを発表したことで買いを集めました。日野自動車(7205)も3.7%高となりました。燃費試験の不正を受けて3月から出荷を停止していた大型トラックの生産を再開したと伝わったことで大幅高となりました。任天堂(7974)も3.2%高となりました。映像制作会社を子会社化し映像コンテンツの企画・制作体制を強化すると発表したことが材料視されました。

一方でリンガーハット(8200)が一時3.2%安となりました。客足の回復が想定より鈍く売り上げが戻りきらなかったことで第1四半期の営業損益が2億円を超す赤字となったことが嫌気されました。中古車販売のガリバーなどを展開するIDOM(7599)も7.5%安となりました。大型店での小売台数が堅調に推移し販管費も減少したことで第1四半期の営業利益は増益を確保しましたが、前年同期比で3.4%増と小幅な増益に止まったことで売りが膨らみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は145円高となりました。昨日の米国市場が高安まちまちとなるなか円安となっていることもあり昨日の堅調な地合いを引き継いで買いが優勢となり一時は210円以上上げました。しかし、75日移動平均線(26,868円)を前に上値を押さえられるとマイナスとなるなど朝方の買い一巡後に伸び悩んだうえ、ファーストリテイリングの上昇がなければマイナスだったことからすると上値の重さがやや意識されそうで、こうしたなかで来週は今週回復に失敗した75日移動平均線や節目の27,000円を上回ることができるかがポイントとなりそうです。

なお、日本時間の21時30分には7月のニューヨーク連銀製造業景況指数や6月の米小売売上高、6月の米輸出入物価指数が発表されるほか、22時15分には6月の米鉱工業生産指数と設備稼働率が、そして23時には7月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値が発表される予定です。また15日の米国ではウェルズ・ファーゴ(WFC)やシティグループ(C)、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)