東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて大幅続伸となりました。57円高の26,228円で寄り付いた日経平均は直後にマイナスに転じましたが、22円安の26,148円で下げ渋ると直ぐにプラスとなりその後は一日を通して上げ幅を広げる展開となりました。11時10分過ぎに219円高の26,391円まで上昇し190円高の26,362円で前場を終えた日経平均は204円高の26,375円で後場の取引をスタートさせると14時30分に347円高の26,519円まで上昇し結局320円高の26,491円で取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が5.7%高となっています。

2.個別銘柄等

塩野義製薬(4507)が5.0%高となりました。昨日は新型コロナウイルス治療薬のゾコーバの承認判断が見送られたことを受けて大幅安となり年初来安値を更新しましたが、本日は自己株式を除く発行済み株式総数720万株と500億円を上限とした自社株買いを発表したことで一転して大幅高となりました。味の素(2802)も6.5%高となりました。家庭用の主力調味料のほんだしやコンソメ製品などの出荷価格を10月1日納品分から値上げすると発表したことで収益の改善を期待した買いが入りました。

再生可能エネルギー事業を手掛けるレノバ(9519)も24.2%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。経済産業、国土交通両省が洋上風力発電に参加する事業者を増やすため複数の海域で同時に事業者を募る場合、特定の企業連合がすべて落札するのを防ぐ仕組みを導入した新たな公募ルール案をまとめたと伝わったことでレノバが今後案件を獲得できるのではないかとの思惑が広がりました。ダブル・スコープ(6619)も11.8%高と急伸し年初来高値を更新しました。リチウムイオン2次電池向けセパレーターフィルムの製造販売や研究開発を手掛ける子会社が韓国で上場承認されたと発表したことで買いが膨らみました。

また、米インテル(INTC)のゲルシンガー最高経営責任者(CEO)が半導体の供給不足が少なくとも2024年まで続くとみていると伝わったことで半導体製造装置関連銘柄が高く、東京エレクトロン(8035)が4.0%高、レーザーテック(6920)が6.2%高、アドバンテスト(6857)が3.5%高となったほか、投資判断や目標株価の引き上げもありディスコ(6146)も7.1%高となっています。

一方でSUBARU(7270)が一時5.5%安となりました。急旋回などでタイヤのボルトが緩み脱落する恐れがあるとして国土交通省にリコール(回収・無償修理)を届け出たことで新型の電気自動車の「ソルテラ」の販売を停止したと伝わったことで売りが優勢となりました。同じく電気自動車「bZ4X」の販売を停止したと伝わったトヨタ(7203)も一時1.8%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は320円高となりました。ハイテクや消費関連株に押し目買いが入り昨日の米国市場が反発したことで買いが優勢となりました。一昨日は寄り付き直後に216円高まで上昇しながら下落に転じると96円安で取引を終え、昨日も10時前に252円高まで上昇しながら後場に109円安まで下落し21円高で取引を終えるなど上値の重い場面が目立ちました。しかし、本日は一日を通して徐々に上げ幅を広げると節目の26,500円や一目均衡表の薄い雲(26,502円-26,510円)を上回る場面もありました。一昨日や昨日と異なる動きとなったことで週明け以降の展開に期待が持てそうですが、仮に買いが優勢となった場合には本日引けで超えることができなかった26,500円や一目均衡表の雲を抜けて水準をさらに切り上げることができるかがポイントとなりそうです。

なお、日本時間の23時には6月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値や5月の米新築住宅販売件数が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)