東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は小幅に反発となりました。14円安の26,134円で寄り付いた日経平均は直後にプラスに転じると10時前に252円高の26,401円まで上昇しましたが、上げ幅を縮めるとその後は昨日の終値を挟んで一進一退の展開となりました。後場に入ると下げ幅をやや広げ13時10分前に109円安の26,039円まで下落する場面もありました。しかし、節目の26,000円を割ることなく踏み止まると持ち直し結局21円高の26,171円で取引を終えています。一方でTOPIXは小幅に下落となりましたが、新興株は堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

東芝(6502)が3.5%高となりました。東芝の再編案について株式非公開化を提案しているファンドのうち少なくとも1社が最大1株7,000円で買収を検討していることが分かったと伝わったことで大幅高となりました。中外製薬(4519)も一時3.3%高となりました。中外製薬が創薬しスイスの製薬企業ガルデルマ社が海外で開発中のアトピー性皮膚炎薬「ネモリズマブ」について炎症性疾患の結節性痒疹を対象とする第3相の臨床試験で主要な評価項目が達成されたと明らかにしたことで買いが優勢となりました。ロート製薬(4527)も中国で再生医療の推進を目的とした合弁会社を設立すると発表したことが材料視され6.2%高となっています。

また、本決算を発表した中堅ドラッグストアのサツドラホールディングス(3544)も一時11.6%高となり年初来高値を更新しました。生鮮品を扱う店舗を増やすことなどで2023年5月期の営業利益が前期比で60.6%増と大幅な増益となる見通しを発表したことで買いを集めました。さらに投資判断や目標株価の引き上げを受けて買われたのがカルビー(2229)やMonotaRO(3064)で、カルビーが投資判断と目標株価の引き上げを受けて5.6%高となり、MonotaROも投資判断の引き上げを受けて5.6%高となりました。

一方で塩野義製薬(4507)が一時10.0%安となり年初来安値を更新しました。厚生労働省の専門部会が塩野義製薬が開発した新型コロナウイルス治療薬のゾコーバの承認判断についてさらに慎重に議論を重ねる必要があるとの見解を示し、承認についての結論が見送られたことが嫌気されました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は21円高となりました。昨日の米国市場が反落となったこともあって小幅に下落して始まりましたが、昨日の米国市場の下げが小幅に止まったこともあって寄り付き直後に上昇に転じると一時は250円以上上昇しました。しかし、26,400円を超えたところで上値が押さえられるとマイナスとなり下げ幅を三桁に広げる場面もありました。昨日に続いて節目の26,500円を前に伸び悩んだことで上値の重さが意識されやすいといえますが、こうしたなかで明日以降も昨日に続いて支えとなった5日移動平均線(26,060円)などをサポートに底堅さを維持できるかがポイントとなりそうです。

なお、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数や1-3月期の米経常収支が発表されるほか、22時45分には6月の米PMI速報値が発表される予定です。また、23時からはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米下院金融サービス委員会で証言を行う予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)