東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は円安を受けて5日続伸となりました。44円安の28,189円で寄り付いた日経平均は直ぐプラスに転じましたが、88円高の28,322円で伸び悩むと徐々に上げ幅を縮め10時20分過ぎに再びマイナスとなりました。しかし、27円安の28,207円で下げ渋ると前引けにかけて持ち直し44円高の28,278円で前場を終えました。69円高の28,303円でスタートした後場の日経平均は14時10分過ぎに155円高の28,389円まで上昇しましたが、その後引けにかけて急速に伸び悩むと結局12円高の28,246円で取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

ソフトバンクグループ(9984)が一時5.1%高となりました。昨日の米国市場で出資するアリババ集団(BABA)の米預託証券(ADR)が14%を超える上昇となったことで買いが優勢となりました。また、原油価格の上昇を受けてINPEX(1605)や石油資源開発(1662)が高く、INPEXが3.3%高となったほか、石油資源開発も5.6%高となり揃って年初来高値を更新しています。リサイクルショップのトレジャー・ファクトリー(3093)も一時9.2%高となり年初来高値を更新しました。ゴールデンウイークの人出が回復したことや気温の上昇により夏物衣料が好調に推移したことなどから5月の既存店売上高が前年同月比で5.7%増と9ヶ月連続のプラスとなったことで買いを集めました。

一方で半導体不足などから先行きが不透明として公表を先送りしていた2023年3月期の業績予想を発表したシャープ(6753)が5.7%安となりました。巣ごもり需要の一巡でテレビ需要が減少するなか液晶パネル価格の低下の影響などもあって2023年3月期の営業利益が前期比23.3%減の650億円になる見通しで市場予想を下回ったことから売りが膨らみました。

鉄鉱石や石炭、穀物などを運ぶばら積み船市況の総合的な値動きを表すバルチック海運指数が大きく下落したことから海外市場で海運株が大きく売られた流れを受けて日本市場でも大手海運株が売られました。日本郵船(9101)が7.0%安、商船三井(9104)が7.7%安、川崎汽船(9107)も11.1%安となりました。くら寿司(2695)も4.0%安となりました。新型コロナウイルス禍での営業制限を緩和したことに伴って売上高は回復したものの、魚を中心とした原材料価格の上昇や広告宣伝費の増加などが響き上期の営業利益が前年同期比で24.6%減と大幅な減益となったことで売りが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は12円高となりました。昨日の米国市場が反落となったことで売りが先行しましたが、寄り付きを安値に下げ渋るとドル円が一時134円台を付け2002年2月以来20年4ヶ月ぶりの円安となったこともあり徐々に買いが優勢となりました。後場には上げ幅を三桁に広げ3月に付けた戻り高値(28,252円)を上回る場面もありましたが、昨日までの4日間で800円以上上昇していたことや、25日移動平均線との乖離率も昨日時点で5%近くまで広がっていたこともあり引けにかけて急速に伸び悩むと3月の戻り高値を小幅に下回って取引を終えています。短期的な過熱感もあり利益確定の売りが出やすく、明日は米消費者物価指数の発表を控え様子見になりやすいともいえますが、こうしたなかで明日も引き続き堅調な地合いを維持できるかがポイントとなりそうです。

なお、日本時間の20時45分には欧州中央銀行(ECB)理事会の結果が発表されるうえ、21時30分には米新規失業保険申請件数が発表される予定です。また、明日は3ヶ月に一度のメジャーSQで寄り付きの動向が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)