東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株高と円安を受けて小幅に3日続伸となりました。68円高の27,984円で寄り付いた日経平均は28,000円を前に伸び悩むとマイナスとなり9時30分過ぎに52円安の27,863円まで下落しましたが、下げ渋ると持ち直し10時50分に136円高の28,052円まで上昇し115円高の28,031円で前場を終えました。153円高の28,069円でスタートした後場の日経平均は12時50分過ぎに178円高の28,094円まで上昇しましたが、その後伸び悩み上げ幅を縮め28,000円を割り込むと結局28円高の27,943円で取引を終えています。一方で新興株は安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
132円台後半まで円安が進んだことで自動車株が堅調でした。なかでもマツダ(7261)が4.2%高、SUBARU(7270)が3.2%高となり年初来高値を更新したほか、日産(7201)が一時3.4%高、ホンダ(7267)も一時3.0%高となりました。岩谷産業(8088)も一時4.7%高となりました。ロシアによるウクライナ侵攻の影響で混乱も予想されるなかレアメタル(希少金属)の一つであるチタンの主原料であるルチル鉱石を調達するためノルウェーの資源会社に出資すると伝わったことが材料視されました。モロゾフ(2217)も6.0%高となり年初来高値を更新しました。生産性の向上による売上原価率の改善や店舗の人員配置の見直しに伴う販売人件費の削減などで第1四半期の営業利益が6億4千万円となり上期計画の4億1千万円を上回ったことで業績の上振れを期待した買いが入りました。
また、自民党が政調全体会議で防衛力を5年以内に抜本的に強化するなどとした経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に関する政府修正案を大筋で了承したことから防衛関連株が高く石川製作所(6208)が5.4%高、豊和工業(6203)が9.5%高、東京計器(7721)が3.9%高、新明和工業(7224)も4.4%高となり、豊和工業と東京計器、新明和工業が年初来高値を更新しています。
一方で本日から上場市場がグロース市場からプライム市場に変更となったメルカリ(4385)が6.2%安となりました。東京証券取引所が先月末にメルカリの上場市場を変更すると発表して以降水準を切り上げていたこともあって利益確定の売りが優勢となりました。川崎重工業(7012)も4.4%安となりました。子会社の不適切行為について本日の15時30分から記者会見を開くと発表したことで後場に下落に転じ下げ幅を広げました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は28円高となりました。昨日の米国市場が小幅に反発したことに加え、ドル円が約20年ぶりの円安となったことで買いが優勢となりました。利益確定の売りが出て下落する場面もありましたが、マイナス圏ではすかさず押し目買いが入り持ち直しました。下落に転じてもずるずると下げないところが今の地合いの良さをあらわしているといえそうで、伸び悩み28,000円を引けで超えることができず小幅な上昇に止まったものの3月に上値を押さえられ上値抵抗線として意識されていた200日移動平均線(27,939円)を上回ったことで堅調な地合いは引き続き維持しているといえそうです。なお、日本時間の21時30分には4月の米貿易収支が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)