モトリーフール米国本社 – 2022年5月28日 投稿記事より

主なポイント

・アマゾンの株主は5月25日の年次株主総会で1対20の株式分割を承認
・株式分割は6月3日に実施予定
・アマゾン株の保有者は、分割後に保有株数が増加

アマゾンの株式分割は6月3日に実施されるが、一晩で金持ちになれると期待してはいけない

待望のアマゾンの株式分割が6月3日に実施されます。5月25日に開かれた年次株主総会で、株主は1株につき20株の株式分割を承認しました。

アマゾンの株式分割はポートフォリオにどのような影響を与えるのでしょうか。株式分割の仕組みについて、以下で簡単に説明します。

株式分割の裏側

2022年に入り、株式分割の話題がメディアを賑わしています。アマゾンもそのうちの1社で、同社は3月、1対20の株式分割が取締役会で承認されたと発表しました。このニュースを受けて株価は跳ね上がりましたが、年次株主総会が開かれる数日前には52週安値まで落ち込んでいました。

アマゾン株は急騰と急落を繰り返していますが、株式分割に影響を与えることはなさそうです。年次株主総会で株主は、株式分割を承認しました。5月27日時点で株主名簿に記載されているすべての株主は、分割実施日に保有株1株当たり19株を追加で付与されます。もし基準日までに2株を保有していたら、株式分割によって38株を受け取ることになります。

株式分割は6月3日に実施され、分割を反映した株価での取引は6月6日から開始されます。これにより、小口投資家はアマゾンの株式を手頃な価格で購入しやすくなります。

株式分割によって一晩で金持ちになるわけではない

一般的に、株式分割で投資家の気分は盛り上がりますが、実際にはそれほど華やかなものではありません。株式分割をしても、それだけで一夜にして金持ちになるわけではなく、見た目が変わるにすぎません。すべての株式が小さく分割されることで、より多くの人が、より安い価格で株式を、端株ではなく所有するチャンスを得ることができるのです。

例えるなら、株式分割とは、20ドル紙幣を1ドル紙幣20枚に両替するようなものです。紙幣の枚数は増えますが、保有金額の価値が変わるわけではありません。

株式分割により、投資家はアマゾン株を1株単位で安く購入できるようになります。株式分割後に株価は現在の4桁から大幅に安くなり、分割直前の株価が2,300ドルとすると、分割後は1株115ドルになります。

株価の行方

株式分割後に株価が爆発的に上昇することは珍しいことではありません。しかし、アマゾンの株価が分割後に急騰するとは限りません。

最善策は、事業をよく吟味して投資を行うことです。事業の背景に着目し、以下の点に基づいて評価すると良いでしょう。

・収益は持続可能か?
・収益を押し上げる要因は何か?
・将来の成長を阻害しかねない脅威や弱点はないか?

これらの質問に答えていけば、その企業について深く知り、自分の投資目標やリスク許容度に適合しているかどうかを見極めることができるはずです。株式分割は飛び付く動機にはなり得ますが、それだけで長期的に高いパフォーマンスをもたらしてくれる理由にはなりません。

株式分割後にアマゾン株を売却する場合

株式分割後に追加で得た株式を売却する場合、株式の保有期間とその年の課税所得によっては、税金が課される可能性があります。

例えば、株式分割の発表後にアマゾン株を購入し、分割によって付与された株式を売却する場合、短期キャピタルゲイン課税の対象となります。これは保有期間が1年以内の株式を売却する場合に適用されます。

ただし、付与された株式に手を付けなければ、税金の心配をする必要はありません。株式分割は、投資家にとって課税対象となるイベントではありません。

株式分割に踊らされてはいけない

2022年に株式分割が話題になっていることで、以前は見向きもしなかったような銘柄を買おうという気になっているかもしれません。しかし、株式分割を理由に株式を購入するべきではありません。分割発表後に株価は一時的に上昇するかもしれませんが、昨今の不安定な市場では、投資家がそのままじっとしているとは限りません。

とはいえ、株式分割のニュースに興奮してはいけないというわけでもありません。その企業に長期的な価値を見出せるのであれば、株式分割で得る追加の株式を喜ぶことは恥じることではありません。保有株数の目標を達成し、他の投資戦略を実行することで、投資のレベルを一段引き上げてくれる一助となるかもしれないのです。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アマゾンの子会社であるホールフーズマーケットのCEO、John Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会のメンバーです。元記事の筆者Charlene Rhinehartは公認会計士(CPA)であり、アマゾンの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアマゾンの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。