東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて大幅続伸となりました。311円高の27,092円と節目の27,000円を上回って寄り付いた日経平均は取引開始から10分弱で275円高の27,057円まで弱含んだ後上げ幅を広げると前引け間際に543円高の27,324円まで上昇し527円高の27,309円で前場を終えました。528円高の27,309円でスタートした後場の日経平均はさらに上げ幅を広げ14時10分過ぎに619円高の27,401円まで上昇するとその後も高値圏で推移し結局587円高の27,369円で取引を終えています。こうしたなか新興株の東証マザーズ指数も高く5.0%高となっています。

2.個別銘柄等

ソニーグループ(6758)が5.0%高となりました。家庭用ゲーム機のプレイステーション5の大幅な増産や、スマホのカメラなどに使う画像センサーの生産能力向上などを発表したことで大幅高となりました。日揮ホールディングス(1963)も3.5%高となりました。サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコから原油から天然ガスを分離する設備の建設プロジェクトを約3000億円で受注したと伝わったことから買いが優勢になりました。JFEホールディングス(5411)も一時3.3%高となりました。従来は二酸化炭素(CO2)を大量に出す高炉でしかつくれなかった高級鋼材を2024年度にCO2排出量の少ない電炉を使って生産を始め、サプライチェーン(供給網)全体でCO2排出を減らしたい自動車業界などの需要を取り込むと伝わったことが材料視されました。また、電炉大手の東京製鉄(5423)も投資判断と目標株価の引き上げを受けて6.1%高となり年初来高値を更新したほか、検体検査機器大手のシスメックス(6869)も投資判断と目標株価の引き上げを受けて9.1%高となっています。

さらに新型コロナウイルス対策のためロックダウンを続ける中国の上海市が6月1日から企業の操業再開を全面的に進めると発表したことで中国関連株が高く、ダイキン工業(6367)が6.5%高、安川電機(6506)が6.6%高、日本電産が(6594)が4.5%高、ファナック(6954)も4.7%高となっています。

一方で利益確定の売りが出て大手海運株が安く、川崎汽船(9107)は寄り付き直後に1.8%高まで上昇し年初来高値を更新した後売りが優勢になると5.3%安まで下落する場面もありました。日本郵船(9101)と商船三井(9104)も一時4.8%安となる場面がありました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は587円高となりました。米個人消費支出(PCE)物価指数で変動が激しい食品とエネルギーを除くコア指数が前年同月比4.9%上昇に止まり前月から伸びが鈍化したことからインフレ加速への過度な警戒感が後退して先週末の米国市場が大幅続伸となったことで買いが優勢となりました。一目均衡表の雲の上限(26,766円)や75日移動平均線(26,802円)、節目の27,000円、さらに100日移動平均線(27,089円)などを次々と超えて上げ幅を広げたことから明日以降の展開に期待が高まりますが、先月から27,000円を上回ると押し戻される展開が続いているだけに27,000円で下値を固めることができるかがポイントとなりそうです。なお、今晩の米国市場はメモリアルデーの祝日で休場となります。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)