対ユーロ、豪ドルの米ドル高の見通し

約20年ぶりの米ドル高・円安となっている米ドル/円ほどではないものの、円以外の通貨に対しても米ドル高は大きく広がっている。とくに先週は、米ドル/円が一時127円台まで米ドル安に戻した動きを尻目に、ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルはこの間の米ドル高値を大きく更新してきた。

例えば、ユーロ/米ドルは一時1.03米ドル台までユーロ安・米ドル高となったが、これは2017年1月以来、5年ぶりの米ドル高ということになる(図表1参照)。これにより、足元で1.145米ドル程度の52週MA(移動平均線)を、ユーロ/米ドルは10%程度下回ってきた(図表2参照)。

【図表1】ユーロ/米ドルと52週MA (2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表2】ユーロ/米ドルの52週MAかい離率 (2005年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ただ、米ドル/円は、既に52週MAを15%程度も米ドルが上回るまで米ドル高になっていることを考えると、ユーロ/米ドルも52週MAかい離率がユーロ安・米ドル高方向に一段と拡大する可能性は十分あるのではないか(図表3参照)。

【図表3】米ドル/円の52週MAかい離率 (2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ちなみに、1ユーロ=1米ドルを「パリティ(等価)」と呼ぶが、そこまでユーロ安・米ドル高が進んだとして、52週MAかい離率はマイナス12%程度といった計算だ。米ドル/円と52週MAの関係を参考にすると、その辺までユーロ安・米ドル高が進む可能性も決して低くはなさそうだ。

豪ドル/米ドルも、先週にかけてこの間の豪ドル安値・米ドル高値を大きく更新してきた。ただ、豪ドル/米ドルは、2020年3月の「コロナ・ショック」後に暴落しており、当時と比べるとまだまだ豪ドル高・米ドル安の水準にある。

豪ドル/米ドルの52週MAは足元で0.73米ドル程度(図表4参照)。過去の豪ドル安・米ドル高局面では、52週MAかい離率がマイナス10%以上に拡大するまで豪ドル安・米ドル高が続くことが少なくなかったことを考えると、今回の場合も0.65米ドル割れへ一段と豪ドル安・米ドル高に向かう可能性が注目されそうだ(図表5参照)。

【図表4】豪ドル/米ドルと52週MA (2005年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表5】豪ドル/米ドルの52週MAかい離率 (2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成