東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は小幅に反落となりました。3円高の26,851円で寄り付いた日経平均はまもなくして116円高の26,964円まで上昇しましたが、伸び悩むとマイナスに転じ11時過ぎに237円安の26,610円まで下落しました。しかし、その後は下げ幅を縮める展開となり143円安の26,704円で前場の取引を終えました。

さらに持ち直し105円安の26,742円でスタートした後場の日経平均は13時30分過ぎにプラスに転じると14時10分前に73円高の26,921円まで上昇しましたが、上げ幅を縮め引けにかけてマイナスになると結局29円安の26,818円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

本決算で自社株買いを発表した銘柄に上昇する銘柄が目立ちました。富士通(6702)は前期に早期退職を募集した影響で人件費が減るうえ、海外拠点を活用した効率化でIT(情報技術)システム開発の採算が向上することなどから2023年3月期の営業利益が前期比で82.5%増となる見通しとなり市場予想を上回ったうえ、自己株式を除く発行済み株式総数の6.11%にあたる1200万株と1500億円を上限とした自社株買いを発表したことで一時10.6%高となり年初来高値を更新しました。

同じく市場予想を上回る2023年3月期の営業利益の見通しと自社株買いを発表したアルプスアルパイン(6770)も13.7%高となったほか、市場予想並みの2023年3月期の営業利益の見通しと自社株買いを発表した村田製作所(6981)も5.2%高となりました。日立(6501)も2023年3月期の営業利益の見通しが市場予想を下回ったものの自社株買いを発表したことで6.7%高となっています。また、レーザーテック(6920)も3.5%高となりました。第3四半期の決算を発表し好調な半導体製造装置の需要を反映し22年6月期の受注高見通しを従来見通しの2000億円から前期比2.5倍の2800億円へと上方修正したことで買いが優勢となりました。

一方でヤフーやLINEを傘下に置くZホールディングス(4689)が9.8%安となり年初来安値を更新しました。LINEとの統合効果が通年で寄与し、デジタル広告事業やリユース事業も伸びたことなどから2022年3月期の営業利益は前期比で16.9%増となりましたが市場予想に届かなかったことで売りが膨らみました。さらに2023年3月期に営業増益を見込むものの市場予想を下回った日本M&Aセンターホールディングス(2127)やアンリツ(6754)が大きく売られ、M&Aセンターホールディングスが13.1%安、アンリツも一時10.4%安となり年初来安値を更新しています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は29円安となりました。米国市場でダウ平均は4月28日に大幅続伸となったものの、先週末に大幅反落となり2日間トータルで320ドルを超す下落となったことから売りが優勢となりました。しかし、一時は230円以上下落しましたが明日から3連休ということもあって様子見ムードも強く一目均衡表の雲の下限(26,644円)を小幅に下回ったところで底堅さをみせると下げ渋りました。

なお、日本市場が休場中の米国では重要イベントが目白押しです。今晩の4月の米ISM製造業景況感指数を初め、4月の米ISM非製造業景況感指数や米雇用統計の前哨戦となる4月のADP全米雇用リポートなどの経済指標が発表されるほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表も予定されています。そのFOMCの結果は日本時間の 5日午前3時に発表されますが、通常の倍となる0.5%の利上げに加えて、量的引き締め(QT)と呼ばれる資産圧縮が決定されるとみられています。そのため約2年2ヶ月ぶりに対面で行われる会合後のパウエル議長の会見に注目が集まりそうで、マーケットの反応が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)