パブリッククラウドは社会の重要インフラ

4月28日、米大手ハイテク5社の2022年1-3月期の決算が出そろった。社会のデジタル化を背景に売上高は5社全てで増加したものの、利益については強弱分かれる結果となった。

アップル(AAPL)とマイクロソフト(MSFT)は増益となった一方、アルファベット(GOOGL)とメタ・プラットフォームズ(FB)は競争激化で広告収入が伸び悩み減益。アマゾン・ドットコム(AMZN)に至っては、投資する新興EVメーカー、リビアン・オートモーティブ・インク(RIVN)の株式の評価額が減った影響もあり約5000億円の最終赤字と、四半期決算としては7年ぶりに最終赤字に転落した。

今回はハイテク大手、いわゆるGAFAMの中でも、特に社会のデジタル化のインフラとして重要なパブリッククラウドを手がける企業に注目したい。パブリッククラウドはデジタル化の推進に大きく寄与する社会の重要インフラであり、クラウド事業の成長は他事業の成長を大きく上回っている。

調査会社ガートナーによると、アプリケーションソフトウェア、インフラソフトウェア、ビジネスプロセスサービス、システムインフラ市場のうち、クラウドに移行可能なカテゴリーを対象とした調査で、2025年には、パブリッククラウドへの企業IT投資が、従来のITへの支出を追い越すとしている。

コロナウイルスの感染拡大を経て、企業は新しいビジネスや社会の動きに対応することを迫られており、クラウドへのシフトは過去2年間で加速している。ガートナーは「クラウドシフトのペースに適応できないテクノロジープロバイダーやサービスプロバイダーは、時代遅れになるか、良くても低成長市場に追いやられるリスクが高まっている」としている。

クラウド事業を手がける企業の市場シェアを見るとAWS(アマゾンウェブサービス)が圧倒的ではあるものの、マイクロソフト、グーグルと続いており、この大手3社で全体の約6割を占めている。その他にもIBMや中国のアリババ、テンセント等、資金力のある大手企業が参入している。

【図表1】クラウドサービスを手がける企業の世界シェア(2021年第1四半期時点)
出所:Statistaのデータより筆者作成

テクノロジー分野の調査会社であるCanalysによると、2021年末時点のベンダー別のシェアは、AWSが引き続き首位を維持しており、そのシェアは33%だった。以下、マイクロソフト(22%)、グーグル(9%)と続いている。マイクロソフトとグーグルがAWSを追い上げており、伸び率ではそれぞれ46%、63%と、AWSの40%増を上回ったものの、AWSのシェアは揺らいでいない。

なお、AWSについて、Canalysは2021年第4四半期にメタ・プラットフォームズの長期的な戦略クラウドプロバイダーに選ばれたとしている。また、ナスダックのクラウドベース取引所の契約を獲得したようだ。

マイクロソフト、クラウド事業で業績好調

4月26日にマイクロソフトが1-3月期の決算を発表した。マイクロソフトの決算期末は6月であるため、今回は2022年度第3四半期の決算発表となる。売上高は前年同期比18%増の493億6000万ドル、純利益は8%増の167億2800万ドル、1株あたり利益は9%増の2.22ドルとなった。

コロナ禍を経て、出勤と在宅勤務を組み合わせるハイブリッドな働き方が定着しつつある中、企業向けのクラウドサービスに対する需要が堅調で、売上高と1株あたり利益は市場予想を上回るものとなった。

【図表2】マイクロソフトの売上高と純利益
出所:決算資料から筆者作成

クラウド部門の売上高は前年同期比32%増の234億ドルだった。とりわけ、クラウドサービス「アジュール」の売上高伸び率は46%と、前四半期から横ばい、さらには2020年度の60%台から鈍化している。しかし特筆すべきはその利益率の高さであろう。クラウド事業の粗利益率は7割を超えている。なお、次の四半期(第4四半期)のクラウド部門売上高は、211億-213億5000万ドルと予想している。

相場全体の動きの影響もあり、株価は年初来で17%下落している。ただし同様にクラウドを手がけるアマゾンが大きくつまずく中、メガハイテクの優等生としてのマイクロソフトの存在感は際立っている。

マイクロソフトは安定性を備えたメガグロースの優等生

米国の巨大ハイテク企業は、世界最大規模の企業になってもトップラインが2桁で伸びていくメガグロースである。評価のポイントは、その企業の提供するサービスがデジタル社会のインフラになっていること、そして潤沢な手元現金を持っていることであろう。

【図表3】マイクロソフト、グーグル、アマゾンの営業利益率
出所:決算資料から筆者作成

マイクロソフトは高い営業利益率という強みも備えている。さらにはその営業利益率は上昇傾向にある。メガグロースの中でも財務的な指標が抜群に安定している。

【図表4】マイクロソフトの手元キャッシュ
出所:決算資料から筆者作成

マイクロソフトの歴史は買収の歴史である。1994年以降、数多くの買収をおこなっており、2011年にはスカイプ、2016年のLinkedIn(リンクトイン)、2018年のGitHub(ギットハブ)等を買収、2021年末時点の企業買収数は223社となった。直近ではゲーム会社のアクティビジョン・ブリザードの買収を発表した。

【図表5】マイクロソフトによる年別の買収企業数
出所:決算資料から筆者作成

クラウド事業を中心に今後も2桁の売上高成長が続くことが想定される中、高い利益率を誇るマイクロソフトはハイテク企業でありながらも安定性を備えたハイブリッドなテクノロジー企業という特別なポジションを確立しつつあるように思われる。

石原順の注目5銘柄

マイクロソフト(MSFT)
出所:トレードステーション
アルファベット(GOOGL)
出所:トレードステーション
アマゾン・ドットコム(AMZN)
出所:トレードステーション
アップル(AAPL)
出所:トレードステーション
メタ・プラットフォームズ(FB)
出所:トレードステーション