>> >>【前回記事】読み方がわかると手放せなくなる四季報の使い方
投資スタイルによって四季報の活用法は異なる
最終回の3回目のコラムは、『会社四季報』(以下、四季報)の活用法の一例をご紹介したいと思います。
まず株式投資をするにあたり、最も大切なことは何かというと、自分がどのような投資スタイルを志向しているかをしっかり認識することだと思います。というのも、投資スタイルによって、四季報の活用法や注目すべきブロックが違ってくるからです。
では投資スタイルとは何かというと、自分の考えに合っているとか、自分が心地よいと感じる投資のやり方で、例えば、株価の急上昇を期待する「成長株」や、誰もがその名前を知っている「大型優良株」、配当を狙う「高配当株」、株価の下落リスクが小さい「割安株」、株主優待を楽しむ「優待株」、純粋にその企業が好きだから買うという「共感株(※筆者の造語)」など様々なスタイルがあります。
社名や特色が書かれているAブロック(図表1のAブロック 構成ブロックの解説は前回のコラム「読み方がわかると手放せなくなる四季報」をご参照ください)は、どのスタイルでも必須項目ですが、それ以外は投資スタイルが違えば注目するブロックや項目もまったく違ってくるのです。
四季報を使ったテンバガーの見つけ方
さて四季報の活用法の一例として、株価が10倍になる「テンバガー」候補の見つけ方をみていきましょう。
ここでは紙ベースの冊子である「会社四季報(=以後冊子)」と、web上のサービスである「会社四季報オンライン(=以降オンライン)」の2つを活用するのですが、手順としては以下の4つのステップを繰り返すことになります。
ステップ1:テンバガーになった実例を探す
その探し方ですが、実際に知っている銘柄でもよいですし、オンラインのスクリーニング機能を活用するのもよいので、まずは実際にテンバガー以上を達成した銘柄を見つけましょう。
冊子の巻頭ページに時々掲載される、過去からの時価総額の増加率ランキングみたいなもの(=実質テンバガーリスト)が最も手軽で便利です。
ステップ2:株価が上昇する前の過去の四季報記事を確認する
「過去の四季報をどうやって見るんだ!」という声が聞こえそうですが、オンラインの中の1つに「四季報アーカイブ」というのがありまして、ここでは何と過去85年以上にわたる全ての四季報記事を簡単に見ることができるんです。すごいですね!
このサービスは有料ですが、これこそ四季報の強みである「継続性」が発揮されるところですので有効活用しましょう。
ステップ3:テンバガーになる前の銘柄に共通する条件(=特徴)を見つける
その条件を見つける際に、私はAブロックの【上場】欄の上場時期を確認して新しい企業かどうかを確認したり、Dブロックから【株主】欄と【役員】欄を確認して「オーナー企業」かどうかをチェックしたり、Jブロックの【業績】欄から「成長性」や「優良性」をチェックしたりしています。
過去にテンバガー以上を達成した銘柄を様々なパターンで調べてきましたが、その条件はある程度絞られてきて1.増収率が高い、2.営業利益率が10%以上、3.オーナー企業、4.上場5年以内、の4つの条件などがあります。
ステップ4:最新号の四季報から「条件」にあった銘柄を探す
上記の4つの条件以外でも、いくつか条件はありますので自分なりの条件を見つけるのも面白いと思います。
ちなみに「増収率が高い」というのは、言い換えれば「成長性が高い」という意味で、その目安としては「20%以上」と考えています。
この「増収率20%以上」という条件は冊子を読破しなくても、実はオンラインのスクリーニング機能(有料)を活用すれば瞬時に抽出することができるのです。
このようにある程度銘柄を絞り込んでから、そのあと1つひとつ、銘柄を吟味していけば自分に合った「お宝銘柄」にたどり着く可能性が高まりますね。
以上3回にわたり四季報についてお伝えしてきましたが、改めて感じるのは、「四季報はうまく活用すれば宝の山、しかし活用できなければ宝の持ち腐れ」ということです。
是非皆さんも四季報を楽しみながらうまく活用してください。