6月21日にHSBCは中国の6月の製造業購買担当者指数(PMI)の速報値を発表しました。結果は48.1で5月の確報値48.4よりも小幅に低下し、8ヶ月連続で景況の境目である50を下回りました。ちなみに欧米の製造業景況指数も6月は大きく悪化しています。6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は、5月の-5.8から6月は-16.6に低下(この指数は0が景況感の境目でプラスになれば業況の拡大を示し、マイナスになれば縮小を示す)。また、ユーロ圏の製造業景気指数(6月速報値)は44.8と5月の45.1から悪化して3年間で最悪となり、こちらも景況の境目である50を大きく下回ってきました。南欧圏だけでなく、ドイツでも急速な悪化が見られます。中国では予測通り景気減速が続いており、緩やかに最後の調整に入っているという印象ですが、欧米の景気が予想以上に悪化すれば、状況が変わってくるので注意が必要です。

もちろん、中国単独で見ると、緩やかではありますが景気対策に向けた手が着々と打たれています。先週は中国の元建て新規貸出の純増額が1兆元前後に達する見込みと国営の中国証券報で報じられました。この記事によると中国の銀行業監督管理委員会は実体経済を支えるために6月初め、銀行に対して国内経済の安定を支援するために融資を増やすよう要請。特に鉄道や道路などのインフラ計画、保証性住宅などに対する融資に重点を置くように指示したとあります。中国政府は2012年第2四半期の元建て新規融資の目標を2兆4000億元としており、4-5月の融資が1兆4800億元でしたので、目標を達成するためにも6月の新規融資が1兆元前後に達すると予想されているわけです

ちなみに、2012年の元建て新規融資の目標は8兆元であり、1-3月の実績は2兆4600億元です。参考までに書くと2010年の新規融資は7兆9000億元、2011年の新規融資は7兆5000億元でした。これに加えて中国国家発展改革委員会(NDRC)が2012年1-4月に承認した投資プロジェクトは前年同期の2倍以上に達しています。これらの状況を鑑みると下半期に入って中国インフラセクターが活性化する可能性は高いように思われます。関連銘柄としては鉄道建設大手の中国中鉄(00390)、中国鉄建(01186)、中国交通建設(01800)、保証性住宅を手がける中国建築国際集団(03311)、北京金隅(02009)等があげられます。