>> >>20代でFIRE達成した理由、自分の投資スタイルの見つけ方【前編】

グロース株から高配当株にシフト

――地政学リスクやインフレ懸念が広がっています。不安定な相場環境に、何らかの対策はしていますか?

FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げが取り沙汰されるようになってから、グロース銘柄は売却しました。コロナ禍ではグロース銘柄の値動きが良かったので、そちらにシフトしていましたが、最近は盛り返してきた製造業で高配当の銘柄に投資したり、これまでは見向きもしなかった金融銘柄を調べたりしています。

ただ、昨今のウクライナ情勢を受けて動いたというわけではありません。FIREという生活の変化で高配当投資に軸足を置くようになったのですが、ウクライナ侵攻の影響で株価が下がって配当利回りが高くなり、買いやすかった面はありましたね。

高配当株を選ぶ際、チェックしておきたい4つのポイント

――YouTubeの動画の中で、「高配当株の選び方・買い方!」について解説されています。ぽんちよさんの高配当銘柄を選ぶ際のポイントを教えていただけますか?

高配当銘柄に投資する際に気をつけなければならないのは、業績悪化で株価が下がって配当利回りが上がる状況になっていないかということです。理想の高配当銘柄の条件は、長期に渡って配当金を出し続ける財務のしっかりした企業であることです。従って、次の4つのポイントをしっかり見ておく必要があると考えています。

「(1)売上高」が年々上昇し、事業規模を拡大し続けているか。売上高だけでなく企業の稼ぐ力を示す「(2)営業利益」も毎年しっかり上がっているか。資金的に余裕があって、「(3)増配」を続けているか。(3)については無理して配当を出している企業もあるので、「(4)配当性向」が著しく上がり続けていないかも調べます。

こうした観点から私が長期間保有しているのは、日本株なのですが伊藤忠商事(8001)や、ゴールドの精錬事業等を行うアサヒホールディングス(5857)などです。

養殖マグロ投資で失敗

――投資で失敗した経験はありますか?

ある水産会社の株で失敗したことがあります。購入のきっかけは、投資を始めた頃にマグロの養殖技術のニュースがたまたま目に入ってきたことです。そして、「これからは養殖マグロが来る!」と考え、養殖マグロを扱う企業を探しました。

しかし、大手水産会社ですから、養殖マグロがもたらす収入や利益などは、全体のほんの一部に過ぎません。こうしたセクターバランスや他の事業の分析などをほとんどしないで買ってしまい、結果的に株価が下がって含み損が膨らみ、買い値のマイナス20%となった時点で損切りしました。

売却が株主優待の権利確定後だったので、しばらくして優待品のカニの缶詰が届きました。「これが損をした8万円分の缶詰か…」と思うと、あまり嬉しくなかったですね。

――副業に興味を持つ方も多いと思います。副業でうまく収入を得るコツがあれば、教えてください。

副業が軌道に乗るかどうかは、どのようなビジネスを選ぶかに大きく左右されると思います。例えば、自分が詳しい分野について、よい商品を見つけて転売することによって利益が出す方法については成功体験を積みやすいと思います。これに対し、YouTubeやブログなどのストック型のビジネスは結果が出るまでに時間がかかります。ですから、こうしたストック型のビジネスでは挫折する人が多いのかもしれません。

私のお勧めは、2つくらいの副業を同時並行でやっていくことです。例えば、個人のブログをやるなら1日3時間をそれに充て、1時間で即金性の高いライターの仕事も請け負うとか。しっかりと売上が立つ状態で副業をやった方が、自己肯定感も得やすいように思います。

投資で視野が拡がり、人とは違う価値観を得た

――節約にも注力されていますが、ぽんちよさん流の節約術を教えてください。

子どもの頃から親の言い付けでお小遣い帳をつけさせられていたとこともあり、節約グセが身についていました。定期的に記帳していると、お金が減るのが目に見えるので嫌になります。

投資を始めてからは、本格的に家計簿を付けるようになりました。何年後にこうしたいという目標が明確になると、「あ、これは要らない支出だな」というふうに自分のお金の使い方を改めて見直すことができ、無駄なお金をほとんど使わないようになりました。

――20代から投資を始めて良かったと思うのは、どんなことですか?

投資は「時間」と「利回り」を味方につけ、若いうちから始めた方が良いと言われます。私の場合はそれに加え、投資がお金のことや自分の人生を考える良いきっかけになりました。視野が広がり、人とは違った価値観でモノを見られるようになりましたね。

例えば、2,000円の支出をするにしても、この2,000円で投資していれば何年か後には2,500円、3,000円になるかもしれないお金だと思うわけです。また、副業を始めたのも投資がきっかけで、投資に回す資金を増やすために入金力(稼ぐ力)を上げたいと思ったからです。そういう副次的な効果が非常に大きかったように思います。

投資成績を客観的に確認し、成長度合いを確かめよう

――最後に、20~30代の投資の未経験者や投資初心者の方々にアドバイスをお願いします。

何のために投資をするのか、投資の目的について一度じっくり考えてみると良いと思います。将来的にFIREしたいのか、子どもの教育費を貯めたいのか、そのためには、どれくらいの利回りで運用していけば良いのかを決めておくことがポイントです。やみくもに最大効率を求めるだけでは疲弊してしまいます。

満足のいく成果ラインを定められたら、毎月資産額を記録しておくと良いでしょう。実際に投資をしていると、連騰して有頂天になる一方で3日続落すると絶望した気分になり、個人の投資人生は「線」なのに「点」にしか目が行かなくなりがちです。1ヶ月ごとに投資成績を客観的な視点でプロットすることで、自分のポートフォリオの見直しにつながったり、自分の成長度合いが分かったりして、改めて資産形成のモチベーションが上がります。そうやって自己肯定感を強めていくことが大事だと思いますね。

――ありがとうございました。

※本インタビューは2022年3月25日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。