モトリーフール米国本社、2022年4月10日投稿記事より

主なポイント

・金利上昇に伴い、住宅ローン需要が低下する可能性があります。
・住宅価格は徐々に下がり始める可能性があります。
・住宅在庫は緩やかながら、持ち直す可能性があります。

買い手も売り手も以下の点を注視すべし

2020年後半以降、住宅市場は売り手有利の傾向が顕著になっています。住宅ローン金利が急速に低下し始め、買い手の需要が一気に高まったことが原因です。一方で、市場で在庫が不足していることで買い手の入札競争が激化し、住宅価格は全国的に上昇しています。

4月は、住宅市場に大きな変化が起こる可能性があります。市場が暴落するということではありませんので心配する必要はありませんが、住宅購入者と不動産投資家は以下の点を見込んでおく必要があります。

1.住宅ローン残高の減少

米抵当銀行協会(MBA)によると、4月第1週の住宅ローン申請件数は、前週比3%減、前年同期比9%減となりました。そのため、4月の住宅ローン残高が前年同月比で減少しても、驚くことではないでしょう。

住宅ローン金利の上昇に伴い、住宅ローン需要は緩やかながら着実に減少することが予想されます。これは悪いことではありません。なぜなら、買い手が住宅市場から撤退し始めることで、売り手にとっては、これまで買い手が甘んじてきたような法外な高値はもう通用しないというメッセージになるからです。

2.住宅価格の緩やかな下落

不動産サイトを運営するレッドフィンによると、4月3日までの1週間で、売りに出されている住宅の約12%が値下げをしました。この割合は、前年同期の9%から増加しています。

2022年に入って住宅ローン金利は急上昇しており、買い手は住宅購入のタイミングを見直し始めています。そのため、4月に住宅価格は全体的に下落する可能性があります。価格が急落することはないでしょうが、緩やかな下落を予想しておくのが妥当かもしれません。

3.住宅物件が微増

昔から、春は住宅を売るのに良い季節とされてきました。2021年は春の在庫ブームはありませんでしたが、景気が落ち込んでいて、まだワクチン接種が進んでいなかったことが原因です。当時、売り手は家を売りに出すことをためらっていましたが、その点において、2022年の4月は動きが活発化するかもしれません。

実際に、不動産情報サイトのリアルター・ドット・コムによると、4月第1週に新たに掲載された物件の件数は前年同期比で8%増加しました。直近は4週連続で減少していましたが、気候が暖かくなったことに売り手が刺激され、今後数週間は新規に掲載される物件が増加する可能性があります。さらに、住宅ローン金利が上昇傾向にあることから、売り手は、金利が高過ぎて買い手が離れてしまうというシナリオを避けるために、早めに物件を売りに出そうとするかもしれません。

4月は興味深い月に

結論として、住宅市場では4月に興味深い変化が見られる可能性があります。住宅購入者であれ、不動産投資家であれ、住宅市場のこうしたトレンドがどのように展開していくか、注視する必要があります。

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