米国では今週から第1四半期の決算発表が本格化します。S&P500指数採用企業のうち16社が決算発表を行い、翌4月18日の週には74社、4月の25日の週には189社、5月2日の週には142社が発表を行う予定となっています。

【図表1】S&P500 2022年1Q 決算スケジュール 日毎の発表企業数
出所:ブルームバーグよりマネックス証券作成

ここまでの米国株式市場は、ロシアによるウクライナ侵攻や、利上げなどマクロ的なニュースにフォーカスしてきましたが、これからの数週間は企業が発表する業績に注目が集まることになるでしょう。

今週は大手金融機関が決算発表予定

3ヶ月毎に発表される米国企業の決算発表ですが、今週の大手金融機関の決算発表を皮切りに始まります。4月13日(水)は米国最大手銀行であるJPモルガンチェース(JPM)、預かり資産が世界1位の運用会社であるブラックロック(BLK)が決算発表を行います。その翌日4月14日(木)には大手銀行のシティグループ(C)やウエルス・ファーゴ(WFC)、証券会社のモルガン・スタンレー(MS)が続きます。金融株はネガティブな決算予想を織り込み、年初から下がってきているため、ささやかなポジティブニュースが出るとマーケットはポジティブに反応するのではないかと思います。

2022年第1四半期のS&P500の決算は5.52%の増益予想

S&P500全体の現時点での第1四半期のコンセンサス決算予想は前年同期比で5.52%の増益となっています。2021年第4四半期の決算発表の実績は前年同期比で28.92%の増益でした。これと比べると増益率は大きく低下するように見えますが、これは既にマーケットには織り込み済みでしょう。

【図表2】米国企業業績の見通しの変化 
S&P500 EPS成長率予想(四半期)
期間:2021年Q4〜2023年Q2 (2021年12月24日時点から2022年4月8日時点までの変化)
出所:ブルームバーグよりマネックス証券作成

今回の予想のこれまでの推移を見てみますと、2021年末時点では6.45%の増益予想でした。これがロシアによるウクライナ侵攻前の2月19日では5.21%の増益へと下方修正となり、その後、侵攻後の3月5日には引き続き下方修正され5.06%の増益予想となったものの、3月26日には5.78%増と上方修正され、直近の先週末の予想では5.52%へと下方修正されています。

決算発表の注目は企業のガイダンスやマネジメントによる今後の見通し

このような予想の推移を見ると、マーケットの企業業績に対する見通しが不安定であることがわかります。よって、今回の決算発表では、もちろん今回発表される決算の中身も大事なのですが、マーケットがより注目するのは決算発表後の今後のガイダンスや、マネジメントによるカンファレンスコールでのコメントでしょう。

投資家が最も知りたいのは、ロシアによるウクライナ侵攻がビジネスに与える影響、コモディティ価格や賃金上昇、サプライチェーンの混乱がどのようにビジネスに影響を与えているか、といったところでしょう。これらの見極めが必要です。

現時点でのS&P500の第2、第3、第4四半期以降の収益予想はそれぞれ前年同期比で6.3%、10.75%、11.51%となっていますが、これらの見通しにどのような影響を与えるのか要注意です。

【図表3】S&P500 歴史的なEPSと今後の見通し(期間:1993年〜2024年)
出所:ブルームバーグよりマネックス証券作成

私が2022年の年末のS&P500が今のレベルより高く終わると考えている理由のベースは、2022年、2023年、2024年の企業業績はそれぞれ9%以上の伸びが続くと見込まれているためです。今回の決算発表で、このトレンドに大きな変化がないか、そのあたりを精査する必要があります。