東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株高を受けて小幅に続伸となりました。日経平均は229円高の27,965円でスタートすると寄り付きを高値に上げ幅を縮め9時40分過ぎにマイナスに転じ10時過ぎに74円安の27,662円まで下落しました。しかし、下げ渋ると昨日終値を挟んで小幅に揉み合う展開となり28円安の27,708円で前場を終えました。12円安の27,724円でスタートした後場の日経平均はまもなくしてプラスに転じ14時過ぎに72円高の27,809円まで上昇した後やや上げ幅を縮め小幅高で推移すると結局51円高の27,787円で取引を終えています。一方でTOPIXは小幅に下落となりましたが、新興株は堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
楽天グループ(4755)が5.6%高となりました。傘下の楽天モバイルが4月から岩手や山形など8県で自社回線による通信サービスに切り替えると発表したことで他社から回線を借りるローミング費用の削減によるモバイル事業の赤字縮小を期待した買いが入りました。本決算を発表したしまむら(8227)も7.3%高となり年初来高値を更新しました。原料高や物流費高騰の逆風が吹くなかで値上げに踏み切ることで2期連続の最高益更新となる2023年2月期の見通しを発表し、市場予想も上回ったことで大幅高となりました。こども写真館を展開するスタジオアリス(2305)も一時5.4%高となり年初来高値を更新しました。労務費コントロールの強化や不要不急の費用支出を抑えるなど経費節減を進めたことなどから2022年2月期の営業利益の見通しを上方修正し最高益を更新する見込みとなったことで買いが優勢となりました。中古車販売のネクステージ(3186)も6.0%高となりました。販売台数や保険料収入の増加が寄与し第1四半期に営業利益が前年同期比で56.4%増と高い伸びとなったことで買いを集めました。弁護士ドットコム(6027)も3.3%高となりました。法律相談ポータルサイトの弁護士ドットコムの登録弁護士数が国内弁護士の半数以上になったと発表したことで業績の拡大を期待した買いが入りました。
一方で良品計画(7453)が3.7%安となり年初来安値を更新しました。3月下旬にかけて寒暖差が激しく主力のシャツなど衣服・雑貨が伸び悩んだことなどから3月の直営既存店とオンラインストアを合わせた売上高が前年同期比10.0%減と大幅な減少となったことで大幅安となりました。豊田合成(7282)も投資判断と目標株価の引き下げを受けて3.5%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は51円高となりました。ハイテク株が買われ昨日の米国市場が続伸となったことから買いが優勢となりました。しかし、節目の28,000円を前に上値が押さえられると下落に転じる場面もあり伸び悩みました。そのため28,000円近辺での上値の重さが意識されそうで、こうしたなかで明日以降も買いが優勢となった場合には28,000円を超えてさらに水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。なお、小売企業を中心とした2月決算企業の決算発表がスタートしていますが本日も引け後にスギホールディングス(7649)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には2月の米貿易収支が発表されるほか、23時には3月の米ISM非製造業景況感指数が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)