東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて3日続落となりました。日経平均は197円安の27,624円で寄り付くと取引開始から20分で421円安の27,399円まで下落しましたが、朝方の売り一巡後に下げ幅を縮めると203円安の27,618円で前場を終えました。さらに持ち直し124円安の27,697円でスタートした後場の日経平均は直後に83円安の27,738円まで戻した後やや下げ幅を広げると結局155円安の27,665円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が上昇となった一方で、日経ジャスダック平均は下落となっています。

2.個別銘柄等

東芝(6502)が6.5%高となりました。米投資ファンドのベインキャピタルが東芝の買収を検討しており、筆頭株主の投資ファンドと株式公開買い付け(TOB)実施時の応募契約などを結んだと伝わったことでTOBを仮定した思惑的な買いが入りました。イベントディスプレー大手の乃村工芸社(9716)も6.5%高となりました。売上高が想定を上回ったことや、販管費を抑制したこともあり2022年2月期の営業利益の見通しを45億円から54億円に上方修正したことで買いを集めました。セントラル硝子(4044)も一時4.1%高となりました。欧米の自動車ガラス事業を投資ファンドの特別目的会社に売却すると発表したことで売却による事業再編を評価した買いが入りました。また、投資判断や目標株価の引き上げに好反応を示したのがユニ・チャーム(8113)やKADOKAWA(9468)で、ユニ・チャームが投資判断と目標株価の引き上げを受けて3.3%高となり、KADOKAWAも目標株価の引き上げを受けて一時3.6%高となりました。さらに新たな材料はないもののゲーム関連株が総じて高く、任天堂(7974)とコナミホールディングス(9766)が3.2%高、カプコン(9697)とグリー(3632)が3.6%高、コーエーテクモホールディングス(3635)が3.4%高、スクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)も6.3%高となりました。

一方で三井E&Sホールディングス(7003)が一時5.2%安となりました。優先株や新株予約権の発行による資金調達を発表したことで将来的な1株利益の希薄化や需給悪化を懸念した売りが出ました。コムシスホールディングス(1721)も投資判断と目標株価の引き下げを受けて一時3.6%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は155円安となりました。消費関連株やハイテク株に利益確定の売りが出て昨日の米国市場が続落となったことで売りが優勢となりました。寄り付き前の8時50分に発表となった3月の日銀短観で大企業製造業の業況DIが7四半期ぶりに悪化したこともあって朝方には一時420円以上下げる場面もありましたが、節目の27,500円を割り込んだところでは押し目買いも入り下げ渋りました。新年度はやや残念なスタートとなりましたが、4月は海外投資家が買い越す特異月であることから週明け以降の相場展開に期待したいところです。

なお、日本時間の21時30分には3月の米雇用統計が発表されるほか、23時には米ISM製造業景況感指数が発表される予定です。マーケットでの関心が高い経済指標だけに注目されます。また、週明けから東証の市場区分が再編されます。これまでの1部、2部、ジャスダック、マザーズの4区分がプライム、スタンダード、グロースへと移行します。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)